347. 隕石

前漢の『史記』に、夜間突如轟音と共に空が光る現象天狗(てんごう)が載る。空を走る狗が地上に落ちたもので、凶兆とされた。『日本書紀』においても、同様の現象を『天狗(あまきつね)』と呼んでいる。後に、これから天狗(てんぐ)が名付けられたと考えられるが、この時点では隕石の事だったらしい。

隕石とは、惑星間の固体が気化することなく落下したもの。古語では「天隕石」・「天降石」・「星石」とも。「隕」とは、「天より落ちる」の意。英語の「Meteor」もギリシャ語で「空から現れるもの」。

世界でこれまで発見されている隕石は、約5万個。内4万個は南極で。日本では51個。古くは、ヨーロッパ・アフリカで矢じりに使用、古代エジプト・ムガール帝国・ロシア帝国では剣に。榎本武揚も〈流星刀〉を作った。1850年越前高田に落ちた〈気仙隕石〉は、国内最大だが、落下時は凶兆だと言われ〈虎舞〉が舞われた。しかしその後、今度は漁・養蚕の成功、病の治療に効くと言われ、砕いて村人達が持ち帰ってしまった...。御神体として、祀られている例は多い。愛媛県新居浜市〈眞神(ほし)神社〉、愛知県名古屋市の〈呼続神社〉、京の〈青龍寺〉の物は念仏石と呼ばれ、本物ならこっちが日本最大。サウジアラビアメッカにも月から来たという黒石がある。

最大の物はナミビアの〈ボバ隕石〉で66トン! クレーターの大きさだと南アリゾナの〈バリンジャー・クレーター〉で直径1.2km。有史以前となると、世界最古は南アフリカの〈フレデフォート・ドーム〉。メキシコユカタン半島に落ちた〈チクシュルブール〉は、マヤ語で「悪魔の尻尾」。直径10〜15km、6600万年前、恐竜を絶滅させた! 隕石のクレーターは直径160km。さらに、遥か昔には仮説上の原始惑星テイアが落ち、月が出来たという。

近年では、1908年ロシアの〈ツングースカ爆発〉。2013年同国チェリャビンスクでは、衝撃波が起こり約1200人の負傷者を出した。大気圏突入前の隕石の大きさは5階建てのビル大で、7トン、秒速18kmで突入した!〈ツングース〉同様、空中爆発した為クレーターは出来なかった。映像には、何らかの飛行物体が隕石を貫通したように見えると話題に。迎撃については、突入から落下まで約1、2分なので不可能と思われるが...。

隕石の一部は〈ソチオリンピック〉の金メダルにも使用された! 一時、オークションでは破片に37万円の値がついた。これに限らず、隕石は100gあたり1〜10万円の相場で取引されており、数百万円の物も! 隕石ハンターもいれば、密輸もある。筆者の知人にも、隕石にハマっている人間がいる。

小惑星の落下を題材にした映画も昔から多い。『アルマゲドン』、『ディープインパクト』。邦画でも、『フィッシュストーリー』、『君の名は』...。今の今まで忘れていたが、子供の頃観た『メテオ』は、その手の映画の元祖だった! ショーン・コネリー、ヘンリー・フォンダも出てるのに、何故かDVDにもなっていないが...。

これらの映画では、小惑星をミサイルで迎撃したり、そのものを内部から爆破させたりしていたが、今の主流は何かを衝突させて軌道を変えるやり方。2022年NASAが実験に成功している。ただ、現実には隕石はほぼ大気圏で燃え尽きるし、隕石となる小惑星等は木星がガードしてくれているし、世界中で監視体制も構築されているようなので、大丈夫?3〜7m程の小さいのなら、ほぼ毎日のように落ちているらしいが、そういうのに当たって死ぬ確率は1/1600000。ただ2021年カナダのルース・ハミルトンは、ベッドで寝ていた顔の横10cmに落下というニアミスを体験! まぁ、飽くまで確率なんで...。

最後に...筆者も先日初めて耳にしたのだが、来年2025年7/5にフィリピン沖に1.4kmの巨大隕石が落下して大惨事が起こるとネット民が騒いでいるらしい...。出所は、先の〈東日本大震災〉を予言したという漫画家たつき涼と、NASAの非公開情報、そしてホピ族の予言...。前二つは眉唾だが、ホピはある程度信用出来る...。ただ、隕石とは言っていなくて、予言にありがちな曖昧な言い回し...。まぁ、とにかく何かは起こるらしい。

星流る我ら亡ぼす誰そ彼は風来松