263. 絶滅種

いつ、どこでだったかははっきりしないのだが、〈ステラーカイギュウ〉の化石を見た事がある。全身骨格でなく、化石の跡の残る大きな岩の様なものだったが、その大きさにちょっと怖い気がしたのを覚えている。しかしその後、〈ステラーカイギュウ〉の事を知り、怖いどころか、逆だった事を知った。

1741年デンマークの探検家ヴィトゥス・ベーリングが、カムチャッカ沖の無人島で発見。同行していた動物学者のゲオルク・ステラーにより報告された。そして、そのたった27年後、乱獲により絶滅した...!〈ステラーカイギュウ〉の肉は子牛のような味で、長持ちもし、ミルクは生で飲むことが出来、皮も有用。警戒心が無く、大人しく、仲間思いの性質は、人間には幸いし、〈ステラーカイギュウ〉には災いした。

同様に人間の狩猟により絶滅した種は多く、〈リョコウバト〉、〈オオウミガラス〉、前述したニュージーランドの〈タレポ〉=〈ジャイアントモア〉...。朝鮮の〈チャンサンボン〉も〈タレポ〉同様、今では妖怪化している。

一方、駆除により滅びたものに、〈タスマニアタイガー〉、〈ニホンオオカミ〉がいる。ただ、両者共に現在でも目撃情報がある。〈ニホンオオカミ〉については、〈マンモス〉のように復活させようという動きも...。

ところで、新たに発見される種も多い。1847年の〈マウンテンゴリラ〉、1869年の〈ジャイアントパンダ〉は、それ以前は神獣とされていた。1938年の〈シーラカンス〉も「食べられない魚」として現地では知られていた。この10年をとっても、〈タパヌリオランウータン〉、〈フトオコビトギツネ〉、〈アマゾンカワイルカ〉、〈ワカンダ〉(マーベル映画からの命名!)...と、発見が相次いでいる。実に地球上の生物の86%は未発見だという!

さて、絵に描いたのは『ふしぎの国のアリス』で有名な〈ドードー〉。モーリシャス島に生息していたが、1681年絶滅。不確かな情報だが、絶滅の30年前に東インド会社から長崎出島に送られ、その後ここ伊予松山に来た可能性があるらしい...! 時は松平定信の世なので、現在の〈城山公園〉を散歩したかも?句もそれを踏まえて詠んでみた。あ、ちなみに、〈ステラーカイギュウ〉と違って、〈ドードー〉は美味くはないらしいぞな。

ドードーの巡り廻れば春の庭風来松