UMA、Unidentified Mysterious Animalは、日本人による造語。未確認生物とも呼ばれる。英語ではCryptid(クリプティッド)。UMAの名称は、『SFマガジン』の二代目編集長である南山宏(『ハヤカワSF文庫』創刊、『ムー』顧問、〈日本フォーティアン協会〉顧問)が、動物研究家・作家の實吉達郎に依頼され考案。1976年に出版された『UMA-謎の未確認動物』で初めて世に出た(確かに「Animal」なので「動物」の方が正しい)。
これまで、幾度も取り上げてきたが、代表といえるのが、ネッシーと雪男だろう。
それぞれに、前者はモケーレ・ムベンベ・オゴポゴ・チャンプ・クッシー・イッシー・ニューネッシー…、後者はイエティ・ビッグフット・サスカッチ・野人・ヒバゴン…と、世界各地によく似たタイプがいる。また日本だとツチノコ、メキシコだとチュパカブラ、モンゴルはモンゴリアンデスワーム、アメリカならジャージーデビルや前回取り上げたモスマン…と代表選手が。グレムリン、スカイフィッシュ、ナイトクローラー、ウモッカ…等、近年になって誕生したものもある。宇宙人や妖怪も広い意味ではUMAとも言える。
ジャイアントパンダや、ローランドゴリラが、19世紀になって生物学的に確認された例や、シーラカンスの発見等を考えると、UMAというのも、全部が全部オカルトや夢物語とも言い切れないと思う。
さて、個人的にはこのUMAなる呼称、馴染んできたのは漸く最近になってから。少なくとも、前述の實吉の本が出た70年代頃は、誰もそんな言葉は使っていなかったと思う。『UMA〜』が出る三年前の1973年、怪奇作家の佐藤有文が『いちばん詳しい世界妖怪図鑑』というのを出版しており、内容は似たようなものだった。
実は筆者は、子供の頃に何れかのUMA図鑑的なものに出会っている。何を隠そう、これが人生における三つの原初の恐怖体験の一つなのだ。本は父方の親戚の家にあった。それはやはり妖怪というより未確認生物図鑑だったと思われる。怖いもの見たさか、何度も何度も見ていた。その中でも印象に残っているものが2体ある。一つは、全身が金色のナマケモノかアリクイのような姿。ブラジルのマピングアリか? 山に登った時、遠くの山肌の岩肌なんかがこれに見えて仕方がなかった。そしてもう一体が絵に描いた、アルプスの牧場のような所にいる猿のようなUMA。実際はもっと醜悪というか、邪悪というか、とにかく目を離せない表情をして、木の杭の上に座っている絵だった。ある日、従兄に「お前の後ろにおるぞー!!」と叫ばれ、転げるように階段を降りて逃げ出してしまったのを今でも強烈に覚えている…。しかし、今回これを描くにあたって、このUMAが載っている図鑑をかなり調べたが、どうしても見つけられなかった(もし知っている方がいれば教えて下さい)。
因みに恐怖のトラウマの残り二つは、松山市の映画館〈タイガー劇場〉に架かってた『八つ墓村』の看板。「祟りじゃ〜」の老婆の巨大な顔が逆さになったもので目がピカピカ光っていて、前を通る時は目をつぶって走り抜けていた。もう一つは、河原で作った石の顔。自分で作っておきながら、ひどく恐ろしい顔ができてしまい、慌てて壊して逃げ出した…。
さて、2026年現在もUMAは子供達の間で大人気である。今、一番売れているのが『未確認動物UMA大全』。著者は現代オカルト分野の第一人者の並木伸一郎。〈日本フォーティアン協会〉〈日本宇宙現象研究会〉の創始者でもある。オカルト界の巨匠・カリスマと呼ばれる山口敏太郎もブログや書籍を多く作っていて、最近は〈怪獣プロレス〉なるものまで立ち上げている!
しかし、UMAに限らず妖怪・都市伝説等も流行っているというのは、世界情勢が不安な時期のお決まりなので、喜んでばかりもいられないが…。
山ひとつUMA一匹笑ひをり風来松
追記
件の図鑑、早速情報があり、解決!なんと、当の従兄から!本は、1970〜76年にかけて小学館から出版された『なぜなに学習図鑑』だった。
その11巻『なぜなにもうじゅうと大怪獣』にまさにあの二体のUMAが!ひとつは、アラスカの光るかいじゅうで、エスキモーはこれを見ると良いことが起きると考えていて神の獣と呼ぶとある。熊に似て、体からは虹のような光を出す。恐竜絶滅後に現れた巨大哺乳類のメガテリウムの生き残りという説も書いてある。そして、あの猿型UMAは、なんとヒバゴンだった…!昭和45年夏、広島県比婆山の麓に現れた、1.6m、顔は人の2倍、全身が黒っぽい毛に覆われた不思議な怪物とある。しかし、その背景はやはりどう見てもアルプスだった…。興味のある方はネットに上がっている画像を是非見てほしい!
この巻の監修は、『ゴジラ』にも関わった古生物学者の尾崎博、指導は科学ジャーナリストの相島敏夫と立派。絵も、江戸川乱歩シリーズや『世界妖怪図鑑』にも描いた石原豪人だった。しかし、調べてみるとこのシリーズ、「70年代に幼少期を過ごした多くの男子のトラウマ…」とか「学習図鑑という立派なタイトルを隠れ蓑にやりたい放題のぶっ飛んだ内容」「今では出版不可能の昭和のトンデモ図鑑」といった言葉が飛び交っていた!
いやはや、それにしても約半世紀を経て、あのUMA達と再会してその正体を知る事となろうとは…!!