何らかの理由で、身体が透明化した人間。包帯ぐるぐる巻きにサングラスというのが定番の姿。
大元は、やはりH・G・ウェルズの1897年の小説『透明人間』。屈折率をほぼ空気のそれと同一にするという設定。1933年には同名で 映画化され、これを見た寺田寅彦は、『自由画稿』において、題名からして「不可視」と「透明」は異なるとし、「眼球まで透明化すると盲目になってしまう」「不可視の生物は本質的に存在しない」と書いている。
では、透明な妖怪は...というと、五万といる。そもそも妖怪とは、目に見えない怪しい存在だからだ。そこに、鳥山石燕や、水木サンらが、勝手に可視化・キャラクター化したに過ぎない。
強いて、透明のイメージが強いといえば、まずぬりかべ。夜道で行く手を阻む見えない壁で北九州に多い。左右はどこまでも続き、上もだめだが、下を棒などで払うと良いとされる。臼杵では、煙を一服すると消えると言われ、狸の仕業と言われる。南海部では七曲坂に小豆とぎと一緒に現れる。水木サンは、ラバウルのジャングルで会ったという!
あとは、夜道で後をつけてくるべとべとさん。奈良や静岡に多い。「お先にお越し」と言えばいなくなる。これにも、水木サンは会っている!さすが、御大...!
妖怪ではないが、隠れ蓑的なアイテムは、世界各地にある。天狗、コロポックルのそれは有名だし、『アーサー王』伝説や、『ニーベルンゲンの歌』、『指輪物語』、『ジャックと豆の木』...等にも、登場する。
創作では1949年円谷英二の『透明人間現る』、1992年ジョン・カーペンターの『透明人間』、2000年ポール・バーホーベンの『インビジブル』。『ムーミン谷の仲間たち』のニンニ、『怪物くん』のFBIの透明人間。ピンク・レディーの歌もあった!
現実では、2003年、東京大学が風景を投影する〈光化学迷彩コート〉を開発!米軍も〈MIT〉にナノテクノロジーを利用した軍服を依頼しているという。こうなってくると、いずれ『プレデター』みたいな事も、近い将来、現実となりそうだな...!
木の実降る見えないけれどそこに居る風来松