徳島妖怪旅②。
前回の小松島から、更に足を伸ばして阿南へ。
時間の都合で行けなかったが、山あいの加茂町にお松大権現通称猫神さんが祀られている。境内には1万体の招き猫、狛猫、猫大仏に、猫の御朱印(期間限定)…と、猫づくし! 勝負事にご利益があるとされ、参拝者は多い。お松大権現は、日本三大怪猫伝の一匹である。
時は貞享三年(1683年)。賀茂郡加茂村は不作続きで、庄屋の惣兵衛は村を救うため、富豪の野上三左衛門に金を借りる。しかし、証文を受け取っていなかった事で、不返済の罪を着せられ、心労の為、惣兵衛は病死。残された妻のお松は、三左衛門に土地を奪われ、言い寄られ、奉行所に訴え出るも、非道な裁きが下される。遂には、藩侯に直訴して死罪となってしまう。そんなお松の遺恨を聴いたのが、愛猫の三毛猫・玉。玉は、奉行や、三左衛門の家に次々に怪異を起こし、領家では変死・病死が相次ぎ、お家は程なく断絶となった…!
さて、お次は有名な肥前佐賀鍋島藩の化け猫騒動。1607年二代目藩主・鍋島光茂は、盲目の青年・龍造寺又七郎を、囲碁の勝負で連敗したことで、斬り殺してしまう。又七郎の母は飼い猫に怒りを語り、自害。猫は、光茂の愛妾お豊を喰い殺して入れ替わる。しかし、忠臣・千布本右衛門に見破られ退治されてしまう。猫は〈秀林寺〉の〈猫塚〉に祀られる。
最後の舞台は、筑後・久留米藩の江戸屋敷。八代有馬頼貴の正室に仕えるおたきは、宴のおり子猫を追い回した犬を退治した功を認められ、側室となる。しかし、女中らにいじめられ自害。彼女の愛猫が化け、恨みを晴らしたが、最後は退治されてしまう。東京三田の〈猫塚〉に祀られている。
さて、三つの話のうちに、最初の徳島のお松と玉だけが立派は神社に祀られている。この一件のみが退治される事なく、恨みを晴らしだからだと思われる。それ故、勝負事の願掛けというのも来ているのだろう。
筆者は猫派である。さらに言えば、野良猫派。そういえば昔よく耳にした「ドラ猫」という言い方を、最近聞いていない。「ドラ」は、「銅鑼を付く」→「金を尽く」で、ろくでなしの悪という意味(ドラえもんも?)。年末には久しぶりに〈劇団四季〉のミュージカル『CATS』を観に行く。1939年T・S・エリオットが書いた詩を元に、1981年にアンドルー・ロイド・ウェバーが曲をつけて、ミュージカル化した。絵に描いたのは、ご存知『トムとジェリー』。1940年、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラにより誕生。日本の『ルパン三世』も『サザエさん』も、この作品を参考に作られた! 日本版の主題歌「トムとジェリー〜仲良くケンカしな♪」は、日本初のCMソングを作った三木鶏郎作。筆者はもちろん、言うまでもなくトム派だ。
怨み事語られ化けて松の花風来松