番外2. 寝子

東京に出てきた鬼太郎親子は、育ての親である水木と共に、天保の時代からの老舗三味線屋〈ねこや〉に下宿する。その家の娘・寝子は長い黒髪に長身の美少女で、鬼太郎は一目惚れ。通い始めた小学校でも隣の席になり、もうメロメロである。

しかし、寝子は鼠や魚を見ると化け猫のように凶暴化。獲物を食べるまでは元の姿に戻れないという、呪われた体質だった!(三味線にされた猫の呪い?)ある日、小学校の教室で猫化してしまい落ち込む寝子だったが、鬼太郎の尽力でなんとアイドル〈キャット寝子〉としてデビューし、人気を博す。だが、あろうことかねずみ男と、ニセ鬼太郎の姦計により、今度は大衆の前で猫化してしまい、それを苦に橋から身を投げて死んでしまう...! 助けに飛び込んだ鬼太郎は、実はカナヅチで、水木に助けられるも、ちゃんちゃんこまでねずみ男達に奪われる始末...。

鬼太郎に代わり、目玉おやじ寝子を連れ戻しに地獄へ赴く。無事、見つかるが、彼女は戻ることを拒否。猫娘としてこの地で胸を張って行きていくと、告げた...。

ちなみに上記は『墓場鬼太郎』の内容だが、『少年マガジン』版では、恐山で呪いを解いてもらった寝子が実家へ戻るという、ハッピーエンドとなっている。

ところで、筆者は数年前から松山市の古い港町・三津の『レコード時間』に参加させてもらっている。シゲさんこと鈴木成高さんが主宰する、古いレコードを、古いスピーカーで、築120年の古い蔵(ピクチャーブックライブラリー〈くらら〉)で聴くという素敵な集まり。そこである時、『メロンの気持ち』なる曲を聴いてハッとした! これは、まさにキャット寝子が歌っていたあの歌ではないか?! レコードは1960年発売で、歌手は森山加代子。筆者は初めて知る名前だったが、会に参加のお歴々は皆知っていたし、この歌自体、学校で歌われたりしたらしい! 元となるシャンソン歌手グロリア・ラッソの1958年『Corazon de Melon』も聴かせてもらったが、こちらも世界的ヒット。さらに、アメリカではローズマリー・クルーニーがヒットさせたが、彼女はジョージ・クルーニーの叔母だった! 因みにアニメ版『墓場鬼太郎』では、寝子役の中川翔子が『君にメロロン』という題名の、『メロンの気持ち』ぽい歌を歌っている。しかし、この歌との邂逅は、その日だけ寝子が、ふらりと地上に戻ってきたようだったなぁ...。

春猫の影だけ残る空き家かな風来松

第四部『しん百句百妖漫録』始まり、始まり〜