「チ。ー地球の運動について」のアニメが始まったので、見ている。『星雲賞』も取った話題作で、〈地動説〉をテーマとしている。史実では、16世紀ポーランドのニコラウス・コペルニクスが提唱。説自体は紀元前からあったのだが、2世紀のプトレマイオスの説を元にした物だった。ただ、発表はだいぶん渋っていたらしい。その後、イタリアのガリレオ・ガリレイも支持して、「それでも地球は回っている」と言ったとか言わなかったとか。この2人のどちらかが、火炙りにされたのかと思っていたが、そんなことはなく、共に病死…。
高校入学の時に、ちょっと前にジブリ映画で有名になった、吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』を読まされたのだが、その主人公がコペルニクスにちなんで、コペルくんと呼ばれていたのだけ覚えている。クラスメイトの一人のあだ名になったので。
さて、それまでは長年に渡り、紀元前4年からずっとアリストテレスの〈天動説〉が信じられていた。ただ、〈地球球体説〉の方は、ピタゴラスが紀元前6世紀に発表し、既にローマ帝国の頃には当然のように思われていた。実際、証明されたのは1519年のフェルディナンド・マゼランの世界一周まで待たなければならなかったが。更に日本人がそれを知るのは1543年キリスト教宣教師が来てからとなる。
では、古代の世界での宇宙観はどうだったのか?
エジプトでは、植物に覆われ横たわる女神ゲブの上に、兄であり夫である天空の神ヌトが覆いかぶさり、その間に大地の神シューが座っているという構図。
ギリシャは、オケアノスなる大洋に、平たい円盤状の大地が浮かんでいて、巨人アトラスが天を支えている。
マヤ・アステカでも、やはり水に囲まれた円盤。巨大神殿テンプルマヨールを中心に13層から成る。
メソポタミアでも、周囲は大洋に囲まれているが、さらにその周りが高い絶壁に覆われている。
北欧神話では、世界樹ユグドラシルを中心に、オーディーンら神の住むアースガルド、光の精霊達のアールヴヘイム、人の世界ミッドガルド、巨人の棲む地の果てヨツンヘイム、小人のニダヴェーリル、死の女王ヘルの統べる冥界ニヴルヘイム等から出来ている。
中国では、巨大な正方形の大地にお椀型の半球、卵型の宇宙の中心に卵黄のようにある大地…など、いろいろ考えられた。仏教では、56万キロの須弥山で出来ており、三千大千世界の多層構造。
おそらく、仏教の宇宙観の元となったのがインド・バラモン教。地・空気・天からなる9層で、ブラフマーが有頂天に住む。また、世界は巨大亀アクバーラの背に乗った象に支えられ、大蛇に囲まれている。これが、絵に描いた図。イスラム世界の大地の下に巨牛クューター、その下に巨魚バハムート、さらにその下に海があり、巨大蛇ファラクがいる構図に似ている。
実はインドのこの図、19世紀にヨーロッパでインド神話をモチーフに描かれたものらしい! 教科書にも載ってたというのに、騙された!
亀鳴くや象と地球が重すぎて星人