粘液状のモンスター。元々は、ヌルヌルした状態の物質の総称で、粘土・泥・粘液…それらの複合体を指した。
モンスターとしての初出は、1953年に書かれたアメリカの小説『Slime-怪の沼』。
その後、1974年同じくアメリカで発売された、〈テーブルトークRPG〉の原点にして金字塔となる『ダンジョンズ&ドラゴンズ』に登場。この世界初のRPGをすぐに購入した雀荘の息子がいて、厳つい大人たちが麻雀をやっている上の階で、僕らは壮大なドラゴンと魔法の世界の冒険を日夜繰り広げたのだった。このゲームは『E.T.』の冒頭でも描かれ、ゲーム中、主人公のエリオットがピザを取りに行ってE.T.と出会う。
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』でのスライムは、なかなか強敵だったのだが、1986年ファミコンゲームで、これまた一世を風靡した『ドラゴンクエスト』が発売される。ここでのスライムは可愛らしい姿のレベル1から出現する最弱のモンスターになっていて、ヒノキの棒で簡単にやられてしまった…! デザインした鳥山明が、「ドロドロしたものはデザインしにくい」とのことで、あの水滴状の姿となったらしい。
ただ、僕らはその3年前に、スライムと出会っていた。1976年これまたアメリカの玩具メーカー〈マテル〉が発売したおもちゃで、翌年日本でも〈ツクダオリジナル〉で販売。ちっちゃいバケツに入った原色のアレだ! アメリカで1000万個、日本でも250万個の大ヒット! 元々は第二次大戦中のゴム不足で、人工ゴムとして生まれた。
さて、モンスターの方に話を戻すと、その後、1988年の映画『ブロブ』や、翌年の『ゴーストバスターズ2』において、スライムは大暴れして、面目を取り戻したのだった…!
木の芽時どこかでだれかがまた選ぶ風来松