317. サルタヒコ

猿田彦命猿田毘古神。『古事記』・『日本書紀』の天孫降臨の段に登場。背は七尺(約2m)、鼻の長さは七咫(120cm)。目は赤酸漿(ホオズキ)のように照り輝き、高天原から葦原中国までを照らしていたとある。

瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)を案内した国津神天照大神以前の太陽神とも考えられる。彼を案内した天之鈿女命(アメノウズメ)と夫婦となり、故郷の伊勢五十鈴川のほとりに鎮座。その後、阿邪訶(松坂)で比良夫貝(月日貝、シャコ貝、ホタテ貝?)に手を挟まれ溺死し、〈伊勢椿大神社〉に葬られた。その子孫は、大田命や、三輪氏、宇治土公と伝えられる。

天之鈿女命の方は猿女の君と呼ばれ、折口信夫は、〈猿楽〉に通じると考えた。福の神・おたふく・おかめも同一視される。平田篤胤の『古史伝』では、彼女の母親は、貝を神格化した蚶貝比売命(シサガイヒメノミコト)としている。

江戸時代に入ると、猿田彦命は、「さる」の発音から〈庚申講〉と結びつけられ、〈垂加神道〉では導きの神とされた。塞の神道祖神境界の守護神、前回書いたダイバンや、天狗等とも同一視されていった。

絵に描いたのは、ご存知手塚治虫『火の鳥』の猿田博士。シリーズ中、様々な時代に登場する猿田一族、最後の人物である。 

ソレデモイツカワタシヲコエントスルサルヨ風来松