今年(2024年)は、周期蝉=素数蝉の、13年蝉と17年蝉の周期が221年ぶりに重なり、アメリカ中西部から南東部で、一兆匹を超える大発生が予想されている! 日本人と違って、虫の声を右脳で聞くアメリカ人にとって、蝉の声はノイズにしか聞こえないらしく、「シケイダゲドン(シケイダ+アルマゲドン)」とか言って、戦々恐々としている…。ヤケになって捕まえてバーベキューにしちゃう人もいるらしいが、害虫よけの薬とかも散布しているので食べないよう注意喚起されている…。まぁ、中国でも、古代ギリシャでも、北米インディアンのオノンダーガ族も食べてるんで、食べれん事もないんだろうが…。
アリストテレスは『動物誌』で、蝉は死と再生の象徴と述べている。中国でも同様で、蝉の形の〈玉〉が古代からあり、西周では復活を祈り〈玉蝉〉を死者の口の中に入れて埋葬した。また、その脱け殻も〈蝉退〉と呼び生薬として用いる。
『ギリシャ神話』では、暁の女神エオスの恋人、人間のティトノスが、ゼウスに不死にしてもらおうとするが上手くいかず、蝉になってしまった。
インドネシア・アンダマン諸島では、蝉は天候や季節を支配する神の子とされる。フィリピンでは、蝉が鳴く時に物音を立てると、風の神が怒り、暴風雨になるといわれる。
日本では、短命である蝉は、「もののあはれ」の代表。「空蝉(うつせみ)」は、「現実(うつしみ)」と重ねて考えられた。蝉の妖怪は見当たらなかったが、豊臣秀吉が朝鮮出兵のおり、佐賀唐津の茶会で「やかましい!」とどなって以降、その土地の蝉は鳴かなくなったと言う話。忠挺翁が猿の腰掛が蝉になるのを見たという話くらい。また、その鳴き声から、斧(ヨキ)を失くした木こりが、「ヨーキ、ヨーキ」と言っている内に蝉になったとも。中国でも、夫より遅く帰ったナマケモノの妻が蝉になり、「遅了(チーラ)、遅了(チーラ)」と鳴くという。
さて、セミと言えば、絵に描いたバルタン星人。『ウルトラマン』の前番組、『ウルトラQ』のセミ人間が元と思われる。前に書いたギレルモ・デル・トロ監督のNo.1怪獣。核爆発で滅亡したバルタン星の生き残りで、言わば宇宙難民である。
実際、セミだけでなく昆虫類は宇宙から来たと言う説がある。7000万年の間化石が見つかっていない事が根拠。確かに、海にほとんど生息しない、変態、複眼…思えば思うほど地球の生物とは考えられない(昆虫に失礼ながら)。ロバート・A・ハインラインの『宇宙の戦士』の映画版『スターシップ・トゥルーパーズ』が思い出される。まぁ、地球上の生命自体、宇宙由来とする説もあるが…。
筆者の生まれた1970年も、周期蝉の大量発生の年だった。その年、アメリカ・ニュージャージー州〈プリンストン大学〉は、ある一人の人物に名誉博士号を授与。彼は大学の人気取りとも思われる行為を皮肉って『Day of the Locusts(セミの鳴く日)』を書き上げた。その人の名は、ボブ・ディラン!
第4話宙より来たる空蝉の風来松