48. 鎌鼬

野鎌鎌風悪禅師の風羊角風...とも。旋風に乗って、人を斬ったり生き血を吸う。ただ、その傷は出血も痛みも無いという。とくに甲信越に多く伝わり、越後七不思議の一つ。鼬だけでなく、悪霊の仕業とも。

飛騨丹生川では、三人連れので、先頭が転ばせる、二人目が切る、三人目が薬をつけるという。他の地区での鼬の場合も同様。暦を踏むと会うとも、傷には暦を黒焼にして貼ると良いともされる。

新潟県には、黒坂というところで転げると会うといい、カマキリ坂に出るのはその名の通り大蟷螂だといわれる。愛知県では術師から逃げたイズナだという。四国では、野ざらしにされた鎌の付喪神が正体とされ、徳島県祖谷ではこれを防ぐ為、墓で使った鎌は七日間置いてから持ち帰る習慣がある。

また、鼬でなく構え太刀だという説も少なくない。鬼神の刃圏に入ると傷つけられるというもので、『倭訓栞』には西土にいう鬼弾の類とある。豊後の偽書『上記(ウエツフミ)』には、弥生時代にロシアが襲来した際、鎌柄太刀が出現し、日向軍に勝利をもたらしたとある。

中国のシイ窮奇が、これと同一だとする記述もあるが、どう考えても強引...。時代だとは思うが、なんでもかんでも中国と結びつけてしまう風潮には過去の事ながらどうかと思う...。

古くは江戸時代の『絵本百物語』、『今昔物語評判』、『耳袋』、『北越奇談』に鎌鼬が載る。明治時代、井上円了は真空説を唱えたが、物理学者である寺田寅彦は否定している。

真空説以外にも、寒冷説や、電気説等がある。突風等で舞い上げられた小石等で傷付けられるというのが順当か...。

さて、お笑い芸人にも〈かまいたち〉というコンビがいる。元は〈鎌鼬〉で、難漢字でも覚えてもらえるくらい売れようという事らしいが、途中で改名したのは笑える。由来はスーパーファミコンのゲーム〈かまいたちの夜〉。確かにあの頃、ホラーミステリー風の作品が多かった気がする。筆者は全くゲーマーではないのだがそういえばファミコンで出ていた『オホーツクに消ゆ』というのは、何度もやった記憶があり、今でもBGMまで覚えている。これ、実はこのホームページを一緒に作ってくれている、北海道在住の従兄と一緒にやった気がするが、彼の北海道行きにこのゲームは少なからず影響してたのだろうか?

治すならハナから切るな鎌鼬風来松