53. スプーン曲げ

1974年2月21日。日本テレビのディレクターだった矢追純一に招かれ、ユリ・ゲラーが初来日した。銀座のクラブで女の子達のネックレスを曲げたりして、24日にテレビ収録をして帰国。3月7日に『木曜スペシャル』で、フォーク(なぜかスプーンではなかった)を曲げる様子等が放映された。さらに、トロントから生中継で日本に向けてを送ると、視聴者のスプーンが曲がったり、壊れた時計が動き出したりして、オペレーターへの電話が300件以上殺到。電話局からの苦情でその場では中止したが、結局1000件を超えたという…。ユリ・ゲラーのスプーン曲げは、前年の『ノストラダムスの大予言』から始まったオカルトブームに拍車をかけた。

この番組により、多くの少年少女が超能力に目覚め、彼らはゲラリーニとしてマスコミでも取り上げられた。ユリ・ゲラーと彼らは宇宙人からのチャネリングにより得た力だと主張した…。

ユリ・ゲラー…本名ル・フロイド。1946年イスラエルのテルアビブ生まれ。1972年、アメリカの超心理学者アンドリア・プリハッチと組み超能力者として世に出る。〈スタンフォード研究所〉での超能力テストに中途半端に参加…。本人曰く、友人のジョン・レノンとオノ・ヨーコの勧めで、一時、日本の山中湖近くに住んでいた。また、〈FBI〉や〈CIA〉にも、協力したと言っていたが、これは2017年の情報公開で事実と判明。実験の結果、『超常的認識能力を明確に示した』と評価されている!

が、程なく日本では、『週刊朝日』がトリックを暴く記事を掲載。床やテーブルに、スプーンを押し付けて曲げている映像も撮影された。前述のゲラリーニ達も、ほとんどが学校でいじめにあう等して、影を潜めていった…。

唯一、清多益章だけは現在も公に姿を現している。「火星にてテレポートして宇宙人ゼネフとコンタクトした」。なんていうのは、どうかと思うが、本人いわくガラス以外なら何でも曲げられるそうだ。彼より前に登場した暴走族の石井くんは、港から群衆の中に船をテレポートさせたという!?(『AKIRA』か?)

本家ユリ・ゲラーもご健在で、時々マスコミに登場したりしている。少し前にも、スプーン曲げをしながら、コロナワクチンを打っていた。ただ、裁判沙汰は度々起こしていて、〈マイケル・ジャクソン裁判〉や、ポケモンの〈ユンゲラー〉を訴えたりと、評判は良くない…。

スプーン曲げ自体も、テコの原理でコツさえ掴めば可能だとか、ステンレスでなくカリウムならすぐ曲がるとか、もはやマジックの初歩だとか散々な言われようだが、筆者としては、実はその中に本物の超能力超能力者が実在している事を願いたい…。

夏休み自由研究スプーン曲げ風来松