「何かをしてはいけない」という禁止を課せられたにも拘らず、それを破ってしまった為、悲劇的結果が訪れるという、世界各地の神話・民話にみられるモチーフ。
『ギリシア神話』では、人間に火を教えたプロメテウスを懲らしめるために、ゼウスがパンドーラに決して開けてはならない壺を持たせ地上へ遣わす。案の定、禁は破られ、そこから恨み・妬み・不安・病…等が溢れ出し、唯一残ったのは、希望だった。
『旧約聖書』『創世記』では、あのノアが「見てはならない」と言いつけていた、自分の酔っぱらった姿を息子のハムに見られ、その子カナンと子孫が呪われてしまった…。(ヒドイ!)また、悪徳の町ソドムとゴモラが神によって滅ぼされた際、逃げ出したロトの妻が、「決して振り向いてはならない」という言葉を破り、塩の柱と化してしまった…。
『日本神話』では天孫降臨の段で、豊玉毘売命が「子を産むところを見てはなりません」という約束を守らなかった夫山幸彦のもとから、サメの姿となり去ってしまう。因みに、この時生まれた子の子が天武天皇である。最も有名なのは、神産みで亡くなった伊弉冉を追い、黄泉国へ行った伊弉諾の話だ。「黄泉の神々に相談してくるので、決して私の姿を見ないで下さい」との言葉を守らず櫛の歯に火を付け見てしまった伊弉冉は、醜く腐っていた…!
民話でも、『鶴の恩返し』や『浦島太郎』、中国の『白蛇伝』がある。『千と千尋の神隠し』でも、ハクが千に「決して振り返ってはいけないよ」というシーンがあった。
これらは、元々一つの話が世界中に伝わり、形を変えたものだと言われる。また、見るなと言われると逆に見たくなる現象を、映画『カリギュラ』から〈カリギュラ効果〉と言う。
描いたのは、『ジョジョの奇妙な冒険』第4部。杜王町にある振り返ってはいけない小道。匂当台2丁目のコンビニ〈オーソン〉の隣。
春の雲ふりむいちゃダメゼッタイ風来松