24. 雪女

武蔵の国西多摩の木樵の老人・茂作と若い箕吉は、ある晩激しい雪を避け小屋に避難する。夜中に箕吉が目を覚ますと、茂作に美しい女が息を吹きかけていて、やがて老木樵は凍死していまう。女は「あなたのことは見逃してあげましょう。でも決してこの事を人に言ってはいけません。」と約束させ、箕吉は助かった...。その後、彼はお雪という美しい女を娶り沢山の子ももうけた。ある時箕吉は、うっかりあの晩の事を妻に話してしまった。すると、お雪は恐ろしい形相となり「あの時の雪女は私です。」と言ったが、子の為だと箕吉の命は取らず消え去ったのだった...。

これは有名な小泉八雲(2025年のNHKの朝ドラに決定!)の『怪談』に載る雪女である。

雪の夜に現れる雪女。白い着物の美女。雪女郎雪女御つらら女房...とも。人の精気を吸い尽くすとも、子を攫い生肝を食うとも。雪や氷なだけに、風呂や囲炉裏で溶けて消えてしまう。

室町時代頃から語られるようになり、『謡曲・雪鬼』に、『名はいにしへの業平の、片野の雪女あだにそ思ひ給ひそ...』とあったり、俳諧にも『失ふるは雪女やも北の方』等の句が。俳諧師・宗祇は越後で、残雪の頃朝方庭に立つ3m程のひどく美しい白い着物の女を見たと『宗祇諸国物語』に書いている。

各地に伝承があり、岩城では旅人を谷底に突き落としたり、越後では人を雪に埋めたり、子供を攫い肝を食べたり...と、おっかない! また、子を抱かせ、その子がどんどん重くなるという性質から元は産女姑獲鳥だとも考えられる。弘前では、小正月に多くの童子を連れて現れるという、歳の神的なところもある。

海外にも似たような存在はあり、ハワイイのマウナ・ケアのポリアフは雪の女神。ロシア版サンタジェド・マロースの孫娘・雪娘のスネグーラチカ。中国にも霜や雪の女神青女(せいじょ)が。

描いたのは、『銀河鉄道999』の『アンドロメダの雪女』。鉄郎は、停車駅スノーインカで宇宙一美味しいラーメン屋のオヤジと、彼が想いをよせるユキと知り合う。機械の体となったユキだが、温かいラーメンを食べ溶けてしまった...。「次の停車駅は〜...虹の帯の星〜、虹の帯の星〜...。」

ラーメンに恋してしまった雪女風来松