古代イスラエル王国第3代の王。即位期間は紀元前961〜922年頃。王国の最盛期を築き、その勢力は北はユーフラテス川から南はエジプト国境にまで及んだ。父親はダビデ王。ペリシテ人の巨人兵士ゴリアテを投石で倒した事で知られる(このシーンを表したのが、あのミケランジェロの像)。
政治的には、内政を重んじ、大規模な土木工事を行った。外交面では、近隣諸国と条約を交わし、政略結婚も重ねた。その為、1000人のハーレムがあったとも。エジプト・エチオピアを支配したと言われるシバの女王との間に出来た子が、ネブカドネザル2世という説もある!
エジプトのファラオの娘(シアメンか?)も娶り捧げ物をした事で、神から「望むものを何でも与えよう」と言われ、知恵を求めた。ここから、知恵のシンボルとされ、かの有名な子供を取り合った二人の母親の〈大岡裁き〉の元ネタもソロモン王の逸話! 映画にもなった宮部みゆきの『ソロモンの偽証』もこれがモチーフ。
ソロモンの指輪もよく知られる。これも神からの授かりものと言われ、動植物と会話ができた! また、真鍮の部分で天使を、鉄の部分で悪魔を使役できたとも。王はこの悪魔をバビロンの穴なる湖深くに沈めたのだが、財宝目当ての人間が封印を解いてしまい、現れたのがソロモン72柱だと言われる。
また、天使ラジエルが宇宙の神秘をまとめたラジエルの書を所有していたとも(アダムからダビデへと受け継がれてきた)。これを元にソロモン王が編纂した魔術書がソロモンの鍵。護符等の図版であるソロモンの大いなる鍵と、前述の72柱の解説と使役方法を記したソロモンの小さな鍵とがあり、共に〈大英博物館〉に所蔵されている!
その他にも、ソロモンオアが持っていたという悪魔に対抗できる唯一の剣、エメラルドが散りばめられたシャムシール・エ・ゾモロドネガルや、アーサー王伝説に登場するソロモンの船・ダビデの剣…等、多くの伝説が残る。
フリーメイソンの元となった〈テンプル騎士団〉の正式名称は、〈キリストとソロモン神殿の貧しき戦友たち〉。これは、騎士団がエルサレム国王より与えられた宿舎が、かってソロモン神殿のあった丘だった事による。また、ソロモン諸島は、1568年ガダルカナル島で砂金を発見したスペイン人アルバロ・デ・メンダーニャ・デ・ネイラが、これこそソロモン王の財宝だと考え、名付けた。
さて、筆者にとってソロモンと言えば、1985年の映画『キングソロモンの秘宝』! あの頃1981年の『レイダース』を皮切りにアドベンチャー映画が幾つか作られた。元は1885年のサー・ヘンリー・ライダー・ハガードの小説『ソロモン王の洞窟』。スティーヴンソンの『宝島』に対抗して僅か6週間で書き上げられた!『宝島』以上に売れ、あのアーサー・ミラーやコナン・ドイルも高く評価。1950年に既にデボラ・カー主演で『キング・ソロモン』が製作されているが、これに比べて1985年版は(ブレイク前のシャロン・ストーンが出演している)評判が悪く、〈ラズベリー賞〉にも複数でノミネート…。一方、この前年に作られた『ロマンシング・ストーン』の方は、監督ロバート・ゼメキス、主演マイケル・ダグラス、キャスリン・ターナーと、豪華キャストで〈ゴールデン・グローブ〉で作品賞を獲った! ただ筆者の中では、どちらもあまり内容は覚えてなくて、この2本はかなりごっちゃになっているのだが…。
絵と句は、ソロモン王が王冠のデザインにしたシクラメン。王の呼びかけに唯一恥ずかしげに頷いてくれたのが、この花だったという。「ソロモンの王冠」と呼ばれ、イスラエルの国花になっている。
王の頼みに小さく頷くシクラメン風来松