月イチで参加させてもらっている、〈いよ本プロジェクト〉の読書会のスタッフの方に、「ア・バオア・クーも妖怪の名前ですよ。」と言われ、驚いた!
〈ア・バオア・クー〉といえば、『機動戦士ガンダム』のクライマックスで登場した、ジオン公国の宇宙要塞。絵にも描いたような、円盤と円錐を合わせたキノコのような形状だった。巨大な鉱物資源衛星から造られている。実は、この作品のキャラクターの名前の由来が面白いというのは、有名な話。艦長ブライト・ノアは、もちろんノアの方舟、カイ・シデンは〈紫電改〉...。
いい機会なんで、この機会にア・バオ・ア・クーが載っているという、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの『幻獣辞典』を購入! ありました...A Bao A Qu! インドのマレー人の伝承に伝わる幻獣。登ったものは涅槃に達するとされる、〈ジャイナ教〉の勝利の塔に棲む。時の始まりより巣食うと言われるが、その正確な姿は誰も知らない。屋上に通じる螺旋階段の最下層にいて、人間の影に敏感なア・バオ・ア・クーは、塔を登る者の踵を捕らえ付き添って登る。一段毎に青みがかった色と輝きを増し、最上階で完全な姿を現す。が、涅槃に達した聖人は、一切の影を落とす事が無くなる為、ア・バオ・ア・クーは苦痛に苛まれ悲鳴を上げる...。これまで、一度だけ最上階にたどり着いたともある? 身体でものを見る事が出来、その皮膚は元の皮のような手触りだとも。しかし、この話の原点とされる『マレー半島の魔術について』という資料自体、発見されておらず、ボルヘスの創作だと考えられている。また、勝利の塔の方は、インドのラジャスターン州に実在するが、最上階への怪談は封鎖されている。
『機動戦士ガンダム』の小説版では、絵に描いた艦長ブライト・ノアと、ミライ・ヤシマがア・バオア・クーについて会話をしているらしい。ミライ「ア・バオ・ア・クー...インド神話に出てくる勝利の塔に棲む幻獣...」ブライト「勝利の塔? ジオンめ、勝利を確信したつもりでいるのか...」。未読につき、勝手にアテレコしてみました。因みに、句の方はこの戦闘が行われたのが、年をまたいでの事と知り、高浜虚子「去年今年貫く棒の如きもの」からの本歌取り。
去年今年貫く妖怪のごときクー風来松