人に似て、知能も高い事から神に近い存在とされる事が多い。
古来、猿は日枝神山(比叡山)、日吉神社の使いとされた。漢字の発明者・蒼頡が、釈迦が日本・日吉に猿として現れ吉凶を示すと知り、「神」の字を作ったという。『日本霊異記』にも、近江国野洲の三上山で「自分は元はインドの王だったが、生れ変わり神社の神」となったという猿の話があり、中世琵琶湖地方に猿信仰が広まったとある。近世にかけても、山王信仰で猿は神使とされ、庚申信仰とも結びつき〈庚申塔〉に〈三猿〉が彫られた。また、猿田彦信仰とも、混ざり合っていった。
一方、『今昔物語』や『宇治拾遺物語』には、神として生贄を求めてきた猿を退治するという話が、美作や飛騨であったと載る。退治する側には、犬が登場する事が多い。長野県光善寺の霊犬早太郎の狒狒退治は、よく知られる。
岡山県や徳島県では、猿が憑くという。
石川県能登では、一本角の猿鬼がおり、気多大明神と神杉姫に退治された。
『インド神話』にも、猿の神ハヌマーンがいる。風の神ヴァーユと天女アンジャナーの子。これをモデルに中国で孫悟空が生まれたとも言う。
UMAでも、ベネズエラの巨大猿モノス。1902年にスイスの地質学者フランソワ・ド・ロウ率いる調査隊が、2頭捕獲。写真を撮影した後、食べてしまった! クモザルだと言われている。インドのニューデリーにも、2001年頻繁に現れ人を襲ったモンキーマンがいる。
猿の事を、「エテ公」なんて呼ぶが、これは猿が「去る」につながる〈忌み言葉〉として、「手に入れる」=「得手」としたもの。
絵は、大好きな松本大洋の描いた雑誌『MONKEY』の表紙。
孫悟空雲引き登る秋天へ風来松