219. 赤

色をテーマにと考え、色のつく妖怪を挙げてみたが、青坊主黒坊主黒仏白僧主白坊主...と、坊主ばかりに...!

しかし、こと赤となると赤シャグマ朱の盆赤エイ赤舌、能登の火の玉赤鉢に『百鬼夜行絵巻』にある謎の赤へる...と、枚挙に暇がない。赤とつかなくても、天狗山人らは、一般的に赤のイメージだ。

秋田県小鹿には、その名も〈赤神神社〉がある。なまはげ発祥の地としても知られる。名前の由来は、かつてこの土地に棲んでいた赤神。十和田湖の女神をめぐって、津軽の黒神と争い敗れるも、女神は得たという。その時の黒神のため息で、津軽海峡が出来た。

赤といえば、鳥居、赤飯、赤ベコ...。川越の玩具には疱瘡除けの赤い〈みみずく〉があり、ミミズクとウサギを足した様な姿。ダルマやサルボボも赤。赤を厄除けとする文化は古くからあり、縄文時代は〈模様〉が赤の替わりだったが、大陸からの影響で赤が神聖視されるようになる。『古事記』にも、邪気祓いの為赤土を床にまいたとあり、流行り病の時には金太郎鍾馗を描いた〈紅摺り〉が求められた。

通過儀礼の中にも赤は多い。安産祈願、湯上げの〈赤帯〉に始まり、婚礼の角隠しの〈紅絹〉、還暦祝いの〈赤いちゃんちゃんこ〉...。絵に描いたのも、お宮参りの際赤子の額に朱で文字を書くという風習。

筆者の子供の頃にはまだ「赤は女の色」という偏見が強かった。この固定観念を打ち破ってくれたのが、『機動戦士ガンダム』の赤い彗星のシャアと、1975年〈広島カープ〉の初優勝の年に真っ赤なユニフォームに変えたジョー・ルーツ監督だった! 以来、赤は筆者のお気に入りの色だ。ちなみにカープのマスコットキャラクタースライリーは、時々ピンク色になるが、何故か名前はゴールデンスライリー?!

朱さされし幼子みやる大銀杏風来松