39. 宇宙人

「ワレワレハウチュウジンダ...」有名なこのセリフは、1957年の映画『鋼鉄の巨人 怪星人の魔城』、同年『ゴジラ』の本多猪四郎監督『地球防衛軍』が、発祥だと言われる。

それはさておき、宇宙人の定義は曖昧だ。辞書によると、『地球以外の天体に生存すると想定された、人間に似た、人間と同じような知能を持った生命体』といった感じでどれも載っている。こうなると、知能とは?生命体とは?といった疑問も出てきてしまうし、果たして人間タイプの宇宙人となると、それこそ存在するのか?と思えてくる...。

人類は古くから頭上に広がる星々にを見て想像を膨らませてきた。最古はローマ帝国時代のルキアノスの書いた『本当の話』の中に、月の住人が登場する。また、4世紀東晋の干宝の『捜神記』には、火星の化身が。日本でも10世紀頃『竹取物語』が書かれた。

ずっと時代を進めて、17世紀にはジョン・ミルトンの『失楽園』にも、月の生命の可能性の記述が。18世紀フランスのヴォルテールは『ミクロメガス』で、土星とシリウスから来た巨大宇宙人を登場させている。

そして、1898年H・G・ウェルズの『宇宙戦争』、1950年レイ・ブラッドベリの『火星年代記』、1953年アーサー・C・クラーク『幼年期の終り』、1959年ロバート・A・ハインライン『宇宙の戦士』...と、次々にSFの金字塔的作品が発表される。

筆者が生まれた後も、1977年ジェイムス・P・ホーガン『星を継ぐもの』(なんとデビュー作!)、1979年欧米でカルト的人気を誇る、ダグラス・アダムスの『銀河ヒッチハイク・ガイド』、1985年天文学者カール・セーガンの『コンタクト』。1998年テッド・チャン『あなたの人生の物語』、そして2008リュウ・ツーシンの『三体』(アジア初〈ヒューゴー賞〉)!

映画界においても、古くは1953年『宇宙戦争』、1968年スタンリー・キューブリックとアーサー・C・クラークによる『2001年宇宙の旅』。1977年スティーヴン・スピルバーグ『未知との遭遇』、同年ジョージ・ルーカス『スター・ウォーズ』! その後も『エイリアン』、『遊星からの物体X』、そして『E・T』! その後も『コクーン』、『プレデター』、『ヒドゥン』、『インディペンデンス・デイ』、前述の『宇宙の戦士』の映画化『スターシップトゥルーパーズ』、『コンタクト』、『あなたの人生の物語』が原作の『メッセージ』。異色作『第9区』もあった。TVドラマでも、1966年から始まった『スター・トレック』、近年でも『V』、『Xファイル』...。『スーパーマン』をはじめ、このところノンストップで映画化されているアメコミにも、多くの宇宙人がいる。

日本の漫画界でも古くは『宇宙戦艦ヤマト』、『銀河鉄道999』、近年でも『テラフォーマーズ』、『デッドデッドデーモンズデデデデストラクションズ』...と、絶え間ない。ニコチャン大王ラムちゃん、サイヤ人ケロロ軍曹...と、宇宙人キャラも多い...。

創作から話を戻すと、宇宙人との遭遇となると、やはり1952年ジョージ・アダムスキーがモハーヴェ砂漠で接触した金星人オーソンだろう。姿は後にノルディックタイプと呼ばれる、北欧人ぽい金髪碧眼の美しい姿。テレパシーを使ったという。『未知との遭遇』やロズウェル事件の、目の大きい小柄なタイプは最近主流で、グレイと呼ばれる。『V』で登場した爬虫類型はレプティリアン。古典的な、『宇宙戦争』や映画版『メッセージ』のそれは、タコ型。他にも、チュパカブラのような動物型、植物型、微生物型、エネルギー体...等、様々。アメリカの都市伝説ブラックアイキッズ宇宙人と言われる。

宇宙人ネタは、ごまんとある...。その中でも厳選すると、1972年高知県の介良事件と、1975年の甲府事件だろう。前者は、どちらかと言うとUFOメインなので、また別の機会に譲るとして、ここでは筆者とほぼ同世代の小学生達が主役の後者について述べる。その内の一人、山畠克博は現在57歳。当時、小学二年生。友人と目撃したUFOを追跡し、ブドウ畑(甲府だけに!)に着陸したそれから出てきた宇宙人に遭遇! チョコレート色のシワシワな肌。目、鼻は無いが3本の銀の牙。兎のような長く大きな耳。銃のようなものもを下げていたという。「キュルキュル」という声を出し、肩を叩かれたが、腰が抜け死んだフリをした。家族や、周囲の住人もUFO宇宙人を目撃しており、後の調査では現地から自然界では存在しない〈リン32〉が検出されている...。

2021年、NASAは天の川銀河で生命が住める星が少なくとも三億個あるとの論文を発表した。多過ぎじゃない?! しかし、それでも、なんで未だに宇宙人は発見されないのか? もうすぐ完読予定の『三体』では、暗黒森林理論というのが出てきて、宇宙人は発見されると、まずは防衛の為相手を滅ぼしてしまうので、息をひそめているというもの。まあ、科学者達は否定的だけど...。 既に地球は宇宙人に見つかっているとか、少なくともほかの天体の生命体はあと数年で発見されるだとか、そんなニュースを随分前から耳にするが、せめて筆者の寿命が尽きるまでにはなんとかしてほしい...!

こんなところで最後にするが、描いたのはご存知ウルトラマンバルタン星人。おそらく筆者が最初に目にした宇宙人なのでは無いだろうか...。実はバルタン星人は、核実験により壊滅した星から来た二十億人の難民。当初は平和裏に地球への移住を考えていた。その名の由来もバルカン半島から。そうええば前述の映画『第9区』で、虐げられていた『宇宙人』は、バルタン星人に似ていた...。最近観た庵野秀明監督の『シン・ウルトラマン』では、あのゾフィーいやゾーフィが、全く地球人の味方でなくゾッとした! 昨今流行りのルッキズムではないが、もしもの時、彼らの見かけに騙されないようにしなければ...。

バンカコウミカタハジャナイホウダッタフーライマツ