108. バベルの塔

『旧約聖書 創世記 /偽書ヨベルの書』に登場する巨大な塔。ノアの大洪水の後、ハムの孫であり、ノアの息子ニムロデが、『産めよ増やせよ地に満ちよ』という神の意志に反して、シナル=シュメールに逗まり、煉瓦とアスファルトにより、この塔の建築を開始した。

モデルは紀元前9世紀のバビロンのマルドゥク神殿の塔〈エ・デメン・アン・キ〉と言われる。その様相は、有名なフリューゲルの描いた円筒形ではなく、7階建て90mの方形の塔楼だったと言われ、各階が、曜日を表していた。

バベルの塔が描かれている最古の碑文は、紀元前604〜562年の物で、ネブカドネザル2世の姿と共に刻まれている。ちなみに、彼の作ったバビロンの空中庭園は、世界7不思議の一つ。

バベルの塔を題材とした作品は多く、映画『バベル』、漫画『バビル2世』、テッド・チャンの小説『あなたの人生の物語』等の名作ぞろいである。

その後、バベルの塔神の怒りにより破壊され、それまで一つだった人間の言葉は、互いに通じなくなった。人々は世界に散らばり
残された地はバベル=バビロン(「混乱」の意)と呼ばれるようになった...。

絵に描いたのはバベルの塔がモチーフだとされる、〈タロットカード〉の中でも「最悪」の「ザ・タワーXIII」。人間の驕りに対する天罰を表す。

遠雷や傾ぐバベルの塔にをり風来松