突然ですが、番外編です。
実は上の絵も句も、筆者によるものではない。このホームページの元となっている冊子体では、『百句百妖漫録 21/2』と題したノートの最後のページだ。お気付きの読者もいると思うが、上の絵や、ここ数ページの絵には、汚れだったり皺だったりが不自然に入っている。これは故意にそうした訳でなく、偶然の産物なのだ。その理由を記しておきたい。
ある日、このノートを新しい友人のブランドンに貸した。ブランドンは、トリニダード・ドバゴ出身。小説家であり、フラダンサーでもある。奥さんもフラの先生で、ハワイイのページは、彼らが出演したフラフェスティバルを観た後に描いたものだ。
その日も2人は、フラのレッスンに出かけたのだが、帰宅して恐ろしいものを見ることとなる...。それは、借りたノートがバラバラにちぎれて、散乱している光景だった! 犯人...いや、犯犬は絵に描いた愛犬の攏(ろん)(お気づきの方もいると思うが、ブランドンの俳号も發(はつ)。麻雀の牌からきている)。2人がとりあえず残骸をかき集めてみたところ、ほとんどの被害は一緒に置いてあった写真だった...! 夫妻は、長い時間をかけ、考古学者が遺物を復元するように、ジグソーパズルのように、修復作業を行った。攏が最も楽しんだらしきノートのリング部分と、彼のお腹に入ってしまった一部以外は再生された。そして翌日、きれいにファイリングされたそれは、大吟醸酒〈梅錦〉と共に筆者に手渡されたのだった...。
何より驚いたのが、このシチュエーションが、僕のお気に入りの映画ジム・ジャームッシュ監督の映画『パターソン』にそっくりだった事! この作品の中でも、アダム・ドライバー演じる主人公のパターソンが、書き溜めていた詩のノートを、妻の愛犬イングリッシュブルドッグのマーヴィンにビリビリに破られてしまうのだ! 舞台となる、ニュージャージー州パターソンは、かのアレン・ギンズバーグや、ウィリアム・カルロス・ウィリアムズ(筆者はこの人と顔が似ているとある人に言われた)といった詩人に縁のある町。そんな作品と同じ事が起こるなんて、ちょっと感動...! そして、筆者の意思以外のところで、作品が形を変えた事も、結果オーライだった。ノアの方舟や、バンシーに入った皺や傷の、なんてカッコいい事か...!
最後になるが、この句はブランドンが公園のベンチに座っていた時、隣の老人がパンを撒き、ハトに包囲された事を詠んだ句。彼は、鳥が苦手で恐怖した...!
春風にパン舞降りる鳩の群れブランドン發