5. 幽霊

死者の。死者が成仏できず、姿を現したもの。

半透明で、足は無く、三角の白紙の額烏帽子、白装束で、草木も眠る丑三つ時(深夜2時)に、柳の下で「うらめしや〜」というのが、一般的な姿。

柳はまぁ、卒塔婆の材料にしたり、中国では棺や霊柩車にも使われるので合点はいく。しかし出る時刻は、かつては妖怪同様、逢魔が時で、場所も辻だったらしい...。姿も古くは生前のそれ。納棺時の姿や、足が無いというのは江戸時代頃からという。足については、1825年江戸・中村座にて『東海道四谷怪談』の初演の演出が始まりとも(ちなみにこの日7/26が〈幽霊の日〉に)、円山応挙の幽霊画からとも言われる。

ところで、幽霊の現れるのは、夏とされていて、季語にもなっている。やはり、お盆にナスやキュウリに乗って帰ってくるから?メキシコにも先祖のが帰ってくる〈死者の日〉がある。(映画『リメンバー・ミー』で描かれた!)

さて、有名どころの幽霊となると、筆頭は日本三大怪談お岩お菊お露飴買い幽霊に、『累が淵』のお累。平家の落人の亡霊船幽霊幽霊列車幽霊屋敷等など...。

西洋では、ゴーストファントム等と呼ばれ、やはり未練を残して死んだ者の。姿は、骸骨だったり、透明だったり、稀に動物だったりもする。出現は日本より早目の深夜0〜1時(これを幽霊時という)。夜明けの鶏が鳴くと姿を消す。降霊術や、霊媒師に呼び出される。子供、処女だけが幽霊を救済できる。また、逆子や、日曜日・四季の初日・万霊節に生まれた子供は、幽霊を見る力があるという。

古代ローマでは、幽霊は街の地下に棲むと考えられ、幽霊石で入口を塞いだ。ドイツでは、〈万霊節〉になると札ばあさんに引率された幽霊が列をなして教会へ向かうと言われる。イギリスの〈ヨークトレジャラーズハウス〉には、ローマ軍人の幽霊が出没。最も寿命の長い幽霊として、〈ギネスブック〉に登録されている。

創作では、18世紀、エドガー・アラン・ポーが幽霊小説を書き、1925年江戸川乱歩も『幽霊』を書いた。山田太一の『異人たちとの夏』は、何度も映像化される名作! 洋画では、ナイト・シャマラン監督の『シックスセンス』が秀逸だった! 荒木飛呂彦の幽霊を主人公にした『デッドマンズ・クエスチョン』も斬新で良かった。そういえば、鬼太郎幽霊族の生き残りだが、これは幽霊とは関係は無い。

絵は鳥山石燕『画図百鬼夜行』から。

淋しい幽霊いくつも壁をぬけるなり高柳重信