筆者の地底人との初接触は、絵に描いた『ウルトラマン』22話『地上破壊工作』だった。監督は実相寺昭雄。主人公ハヤタが、〈科特隊・パリ本部〉のアンヌと共に、宇宙ロケット講習に向かう途中、地底人に誘拐されるという内容。彼らは、地下40000mに氷河期から棲む古代の地球人で、テレスドンを操り、地上征服を目論んでいた! その風貌は、黒のスーツにサングラスで、それを取ると目が無かったのはショッキングだった...。今思えば、あのスタイリッシュなスタイルは、何だか『マトリックス』ぽかったが、まさかオマージュ? 結局地底人は、ハヤタの催眠(洗脳?)には成功したが、それはウルトラマンには影響してなくて、あっさり光にやられ全滅してしまった...。相変わらず、子供心に敵方がちょっとかわいそうな気もするラストだった...。
地底人というか、地球空洞説は古くから支持され、多くの科学者・権力者・探検家が探し求めた。あの彗星のハレー、数学者オイラー(内部太陽)、極地探検家のリチャード・バートンが南極の大穴の中で緑あふれる谷間を見たという話も! 日本でも、長野の甲賀三郎伝説では、地底にある七十二の国を彷徨ったとある。
1873年フランスのルイ・ジャコリオの『神の子』では、アジアの何処かにあるとされるアガルタという地下都市の事が描かれている。そこには、世界の中心にあり、太陽に準ずる光源と、高度な科学文明が存在するという。1908年アメリカのウィリス・ジョージ・エマーソンの、『煙の神・
ザ・スモーキーゴッド』にも、ノルウェーの船員オラフ・ヤンセンがアガルタを訪れたとあり、そこには身長12フィートの地底人がおり、煙がかった太陽に照らされていたとある。1920年ポーランドのフェルディナンド・アントニー・オッセンドフスキーも『獣・人・神々』に、地底の国シャンバラを書いた。
世界の神話にも、地下の国は多く存在する。『ギリシア神話』・『エジプト神話』の冥界、『北欧神話』のスヴァルトアールヴヘイム。『日本神話』の黄泉の国・根の国。地震を起こすという大ナマズや山くじらも地底にいるとされる。
ジュールベルヌや、ウェルズも地底の国を描いている。
実際、2018年〈国際地学学会〉で、地下5000mの地点に巨大生物圏があると発表された。そこには、全人類の400倍の生物量があり、数千年にわたって存在する生物もいるという!
日本の洞窟を探検しまくっている〈洞窟ばか〉吉田勝次は、2021年にベネズエラのギアナ高地に恐竜がいるというニュースを耳にし(コナン・ドイルの『ロスト・ワールド』?)、探検隊を結成したがコロナで延期になったままである...。
蚯蚓鳴く美女に目が無い地底人風来松