364. 怪談

幽霊妖怪と違って、怖いし、悲しいし、なんだかドロドロしてたりして苦手...。ただ、また夏が来たので久しぶりに頑張ってみた。

怪談。怖さを感じさせる物語の総称。幽霊化け物等を主題とする。古くから小説等に書かれ、芝居・浄瑠璃・能・歌舞伎・講談・落語等、幅広いジャンルで演じられてきた。

『今昔物語』の『巻第十震旦(中国)付国史』『巻第十四本朝(日本)付仏法』『巻第二十七本朝付霊鬼』『巻第三十一本朝雑事』等に多く語られている。これらの古典を纏めたのが、1776年上田秋成の『雨月物語』。1900年には泉鏡花が『高野聖』を、1904年には小泉八雲=ラフカディオ・ハーンが『怪談』を、1910年に柳田國男が『遠野物語』を書いた。

落語では怪談噺と言い、文化文政の頃より始まり幕末明治に隆盛。林家の始祖・林家正蔵が元祖と言われ、初代三遊亭円朝、桃井如燕、八代目正蔵らが、名手と言われる。 初代円朝は福地桜痴から聞いた『グリム童話・死神の名付け親』から、『死神』を創作。有名な怪談噺に『お菊の皿』・『怪談牡丹燈籠』・『反魂香』・『子育て幽霊』...等。

前述の前二つに『四谷怪談』で、〈日本三大怪談〉。お菊さんについては既に触れた。『四谷怪談』は、貞女お岩が、夫伊右衛門に惨殺され幽霊となって復讐を果たすという話。曲亭馬琴や、鶴屋南北の書いたものが知られる。京都東山〈六道珍皇寺〉に〈お岩大明神〉があり、等身大のお岩さん像がある。作者に災いがあり奉納されたのだが、あまりにの恐ろしさ故に公表はされていない...。ちなみにこの寺、空海の師・慶俊僧都の開基。葬送の地で、あの世に近いとされる鳥辺野に近く、六道の辻と呼ばれる。あの小野篁が閻魔大王の手伝いをしていた折に使った冥土に通じる井戸がある。また、この寺の側には、子育て飴買い幽霊の〈みなとや幽霊子育飴本舗〉もある!因みに千代田区の帯坂は、【お岩さん】が上り、【お菊さん】が下った場所として知られる。

描いたのは、山村理会『牡丹燈籠』のお露さん。京極夏彦との妖怪絵本『ことりぞ』の作者。『牡丹燈籠』は元は中国・明の怪奇小説『前灯新話』で、これを京の東寺の塔頭・宝菩堤院の説教僧らが翻訳、写本。1666年浅井了意が『御伽婢子』に書き、幕末に三遊亭円朝が怪談噺として完成させた。若く美しい姿の幽霊・お露と、新三郎の恋物語。毎晩、駒下駄をカランコロンと響かせてやって来るお露さんには、足が...ある! さすが、中国生まれ!

夏合宿怪談部屋か卓球か風来松