353. 太陽

空亡(そらなき・くうぼう)百鬼夜行の最後に現れ、全ての妖怪を踏み潰す。『百鬼夜行絵巻』では、太陽そのものの姿で描かれており、夜は明け妖怪達は去っていく…。元々は、十干十二支の一期間の名称。〈算命学〉では〈天中殺〉。荒俣宏監修の『陰陽妖怪絵札』では、ワイルドカードで、『空亡に太陽が現れどんな妖怪も塞ぐ事は出来ない』とある。これがもとのアドベンチャーゲーム『大神』でもラスボス常闇ノ皇=空亡とされ、最強妖怪という認識がネット上で拡散されてしまっている…。

魃(ばつ・ひでりがみ)は、山川に旱魃を起こす。『山海經』に載り、黄帝の娘とも、頭の上に目のあり、手足1本ずつの人面獣身とも。風のように走る。鳥山石燕も『今昔画図続百鬼』に描いている。『西遊記』の日照り妖怪は、白面、緑の皮膚、河童語で子守唄を歌う。

もちろん古今東西、世界中に太陽神がいる。ギリシャのヘーリオスアポロン、エジプトのラーアメン、スラヴのダジボーダー、インドのインドラ、北欧のソール、メキシコのケツァルコアトル…。アルシエルは『旧約聖書』にある地獄の最下層ゲヘナに住む「黒い太陽」を象徴する暗黒神。日本にも、天照大神大日如来、沖縄のテルコ、アイヌのトカペチュプカムイがいる。

太陽と言えば、日食も古くから様々に伝えられ、多くは彗星と共に凶兆とされた。ヒンズー教では魔神ラーフケートゥがこれを起こすとされ、中国に伝わり羅喉星計斗星となった。ヴァイキングでは、魔狼フェンリルの眷属スコルが、女神ソールに食いつくと日食になると言われた。中国では嫦娥が残した薬を舐めた后羿の猟犬が日食を起こすと言う。日本では日食は穢れとされ、天皇に見せないようにしたり、儀式も中止され、御修法や読経が行われた。卑弥呼が死んだ年にも日食が起きた。日食ではないが、宮崎東臼杵では、明治の丙午の年、丙午の日に、太陽が3つ現れるという怪異が起こり、多くの人に目撃されている。丁度、今(2024年)大阪に『古代メキシコ展』が来ているのだが、来日している死のディスクや、テオティワカンのピラミッドも、日食と関係していると言われる。

それにしても、この絵、まるで最終回のようではないか?!

つづく

春暁やラスボス百を無と帰せり風来松