148. 魔法使い

魔術士魔道士とも。特に賢明で正の側にある者を賢者とも言う。

古くはエジプト古代王朝の、ヘルメス・トリスメギストス。ノアの洪水前にいたとも、アダムの孫ともいう。ピタゴラスの師とも。全ての魔術・学芸・技術の始祖。ピラミッドも、錬金術も彼から始まった。唯一賢者の石を手にした人物とされる。

『旧約聖書』には、ダビデの子として、ソロモン王が記されている。有名なソロモンの指輪は、大天使ミカエルより授けられた物で、様々な悪霊を使役し、動物の話が分かる。

シモン・マグスは『新約聖書』に載る。サマリヤの魔術士で、ペテロの宿敵。〈グノーシス主義〉の開祖といわれる。

ずっと後になると、1480年ドイツにヨハン・ゲオルク・ファウストが現れる。占星術・錬金術師。マルティン・ルターから悪魔の力を借りていると非難され、錬金術の実験中に爆死したという。それらの事から、メフィストフェレスと契約して魂と引き換えに知識を得たとされ、有名なゲーテの『ファウスト』に描かれた。

1527年イングランド王国のロンドンに生まれたジョン・ディーは〈エクノ魔術体系〉の祖。『ヴォイニッチ手稿』の所有者の一人。

1875年イギリスのアレイスター・クロウリーはよく知られる。オカルティスト・詩人・登山家(K2、カチェンジュンガに西洋人として初挑戦!)。秘密結社〈銀の星〉を立ち上げ、〈東方テンプル騎士団〉の総帥にもなる。〈黄金の夜明け団〉の知識・儀式を無断で公表もした! 『黙示録』の獣666を名乗る。

現代においても、ニュージーランドには、政府公認の魔法使いイアン・ブラッケンベリー・チャネルがいる!

創作においては、『アーサー王物語』のマーリンを筆頭に、『カレワラ』のワイナミョイネン、『キャッツ』のMr.ミストフェリーズ、『ゲド戦記』のゲドハウルハリー・ポッタードクター・ストレンジムッシュムニエル…と、枚挙に暇がない!

ただ、やはり横綱は『指輪物語』のガンダルフだろう。長い白髪に、とんがり帽子、灰色のローブに、魔法の杖。人間の老人のように見えるが、実は西の果ての神々の国アマンから、サウロンに立ち向かうべく遣わされた5人の賢者イスタリの1人で、マイアなる種族。本名はオローリン。絵に描いたのは、そのガンダルフと、同じく長い探索の旅を続ける『スター・ウォーズ』のアソーカ・タノ。「フォースの共にありますように。」

逃げ水や行方を探す永き旅風来松