「妖」の漢字は、「女」と「夭」から出来ている。「夭」は「不思議」「神秘的」「人を惑わす」という意味があり、元は神懸かりのなった巫女が、手を振り上げ、髪を振り乱し、身をくねらせて舞う姿の象形文字。「夭逝」では「早死」の意味、言偏がつくと巫女の発する呪詛となる。
その為、女の妖怪は多いように感じる。
日本三大妖怪の、九尾の狐の玉藻の前=妲己。姫系では、長壁姫、亀姫、滝夜叉姫、橋姫、山野には山姫、川姫、磯姫、山姫、雪女、昔話にもかぐや姫、乙姫もいる。遊女系ではろくろ首、骨女、高女。山姥、砂かけ婆等の老女系。動物系ではおさんぎつねや女郎蜘蛛。都市伝説でも、口裂け女トイレの花子さん。お岩、お菊、お露に飴買い幽霊の幽霊系。他にも雨女、濡女、影女、針女、笑い女…と、切りが無い…。産怪の姑獲鳥は、紀元前千年頃にアジアに広まった天女伝説が大元だと言われる。
これらの総称としても使われる飛縁魔は、本来仏教用語で女犯を戒めるためのもの。その姿は菩薩のように美しいが、実は夜叉のように恐ろしく、魅入られた者は自らの身だけでなく、家ごと失うという…! 名前の由来は、火の閻魔や、釈迦の悟りを邪魔したというマーラ、夫を食い殺すと言われる「丙午」からとも。
海外でも、『ギリシャ神話』のニュンペー、セイレーン、ハーピー、メデューサ、そして魔女…。メソポタミア文明の最初の竜と言われる、海の女神ティアマト、『旧約聖書』の最初の女リリス等が思いつく。
逆に鬼やUMA、怪物めいた存在は、やはり男というか、オスがメインのようだ…。
「妖」とは、得体の知れない存在で、畏れ、恐れられるもの。世の男どもにとって女とは、まさに「妖」か…。
描いたのは、ご存知モンキー・パンチ『ルパン三世』の、峰不二子。名の由来は、霊峰・富士から。
この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉三橋鷹女