277. 卵

物価の優等生と言われてきた卵が、まさかの反抗期で、かつては100円弱だった価格が今や約3倍に...! 鳥インフルエンザや、コロナ、戦争、円安等が原因なんだろうけども...。

世界の建国神話の一つに、『卵生神話』がある。例えばギリシャ神話では、女神エウリュノメが鳩となって産んだ卵から宇宙が生まれた。オルフィック信仰でも、蛇と絡み合った卵から最初の神ファネスが誕生。インドの『ヴェーダ』も黄金の卵から創造神ブラフマーが。エジプトは太陽神ラーが、サモア・タヒチでは始祖タンガ・ロアが、やはり卵から生まれた。ほかにも、フィンランド、ラオス、ベトナム、ドゴン族、朝鮮、台湾、中国にも、同様の神話が存在する。ただ、日本はというと『日本霊異記』や『海道記』に散見される程度である。

妖怪となると、ほとんど見当たらないが、唯一韓国に卵鬼神(タルギャルキシン)がいる。卵に手足の付いた姿。日本のトイレの花子さん的な妖怪で、学校のトイレに現れ、逆立ちして頭の殻をコツコツ鳴らしつつ近付いてくるという。

それを聞くと、やはり『マザーグース』『不思議の国のアリス』のハンプティダンプティを思い出す。創作の世界で言えば、昔懐かしい『カリメロ』もいたが、なんとコレ元はイタリアだった! 1985年のアニメ映画『天使のたまご』は、押井守監督、天野喜孝キャラクターデザインのカルト的人気を誇るアニメ映画。未見だが、公開当時、子供心にヤバそうな感じがあったのは覚えている...。あのロジャー・コーマンが権利を買ったが、その後転売され所在不明となっているらしい...。

卵といえばイースター。やはり、復活の象徴なのだろう。キリスト教以前から卵と卯は豊穣のシンボルで、ゲルマンの女神エオストレが野ウサギから春色の卵を贈られた事が由来と言われる。日本でも、大寒〈寒卵〉は幸や健康を招くとされるが、イタリアでも〈キリスト昇天祭〉の卵は、病を治し作物の害を防ぐといわれる。

句は、上記の事を元に捻ってみた。絵は安野光雅監修の『小さな家のローラ』から。子供の頃『大草原の小さな家』をいつも見ていた。「オルソン夫人て、ほんとケチ!」「ローラ、人の悪口を言うのはよしなさい。」「ごめんなさい、父さん...でも...」「まぁ、確かにオルソン夫人はちょっとガメついところはあるな。」「!」キャロライン母さんが卵を売りに行くシーンは、記憶に残っている。

オルソン夫人と言い争っているキリスト昇天日の卵の値風来松