281. エクソシスト

『クレイジージャーニー』というTV番組で、文化人類学者デ・アントーニ・アンドレが、イタリアへエクソシストの取材に行く回を見た。サルシナの〈聖ヴィシニウス教会〉では、聖なる首輪の儀式。ローマでは解放の祈りの儀式。悪魔に取り憑かれているという人々も、それを祓うエクソシスト達も、とても演技とは思えない映像だった...。

エクソシスト。特に〈キリスト教カトリック教会〉で、エクソシスム(悪魔祓い)を行う者。その語源は、ギリシャ語で「誓い」・「厳命」。悪魔は、『新約聖書』の中にも、イエス悪魔を祓った記述が幾つもある。また、洗礼時にも悪魔を拒否する誓約がある。エクソシストは、かつては教会の叙階のひとつだったが、20世紀になり廃止された。ただ、現在でも〈バチカン〉公認のエクソシストが、イタリアに約300名。世界では400名が存在。日本人も1人いる。名は、田中昇。〈ローマ教皇庁学校エクソシズムコース〉を受講。現在は日本の〈豊島教会〉の神父である。実際、日本でも何度か悪魔祓いを行ったという。

映画等でもお馴染みだが、悪魔に取り憑かれた者は、未知の言葉や、知り得ないであろう秘密を語る。また、年齢や身体的条件を超えた力を出し、物理的に不可能な動作をする。そして、聖なる物を嫌悪する。実際、前述の田中昇が知り合いのスペイン人神父に聞いた話では、インド研修中に出会った、悪魔憑きの人物が、その神父の出身地であるスペインの片田舎の言葉(言語学者でないと知り得ない)で喋りだし、恐怖したという...。

悪魔祓いは、年間で50万回以上行われており、フランスでも100教区に1人以上エクソシストがいるが、猫の手も借りたい程の忙しさらしい...。しかし、実際に悪魔に憑かれていると思われる人は、2〜3%程度。1999年に、1614年以来のガイドラインの見直しがあり、悪魔祓いを行う際は、精神科医との連絡を密にする事が義務付けられた。事前に、医師の診断を仰ぎ、彼らの立ち合いのもと行われる。

2016年に亡くなった、〈国際エクソシスト協会〉の創立者、ガブリエーレ・アモルトは、ヴァチカンのローマ教皇に仕えたチーフエクソシストである。5万件の悪魔祓いを行い、祈祷と合わせると、16万件にも及ぶという! TV出演などもしており、イタリアのお茶の間ではお馴染みらしい!

彼の回顧録『エクソシストは語る』は、2023年ラッセル・クロウ主演で『ヴァチカンのエクソシスト』として映画化された(描いたのはその絵で、瞳の中は『エクソシスト』の少女リーガン)。クロウはその前にも、『ザ・エクソシズム』なる映画に出ていて、なんと脚本はエクソシスト映画の金字塔、1973年ウィリアム・フリードキン監督の『エクソシスト』で、カラス神父を演じた俳優の息子である、ジョシュア・ジョン・ミラー! 2017年にも、フリードキンはエクソシストのドキュメンタリー映画を製作している。

しかし、子供の頃観たホラーは、どれも恐ろしかった...。前述の『エクソシスト』、『悪魔の赤ちゃん』、『オーメン』、『ポゼッション』...やたら画面は白っぽく、俳優達の演技も鬼気迫るものがあった...。ちなみに筆者は、フランス女優イザベル・アジャーニの往年のファンです♡

魔も犬も去り石生まれ松過ぎる風来松