156. バオバブ

「全てのバオバブに好みの精霊がいる」

日本で言う「十人十色」の意味のアフリカの諺である。

バオバブ。アフリカ大陸を原産地とする樹木。

アフリカ・マダガスカル・オーストリア・インドに分布。地球上で最も大きな木とも言われ、直径10m、高さ30m。幹には10トンの水を蓄えている。年輪がない為、樹齢を知るのは難しいが、2011年に枯死したジンバブエのものは放射線年代測定で、樹齢2500年とされた。6000年なんてものも! 現地では、バオバブを余すことなく活用。果実・種・葉は食用に。(2010年日本でもペプシのバオバブ味が発売された! 薄いショウガ味の水飴といった味だったらしい...)また、オイルを取ったり薬用に使われたりもする。樹皮等からは、ロープや日用品も作られる。また、古い樹洞はかつてはミイラを作る死体置場に! 現在でも刑務所・バス停・バー等に使用されているとか!

さて、そんなバオバブ、その姿からに逆らって逆さに植えられたとか、悪魔や、ハイエナの仕業とも。「地上最初の木」や「ゴンドワナ大陸の忘れ形見」とも呼ばれる。やはり、精霊が宿ると信じられている。タンザニアでは、シェタニという名で、雨乞いをしたりする。また、ウロに閉じ込められた少女ムサニンガも知られる。

いろいろな言い伝えも多い。「樹の下で集会するといいアイディアが生まれる」「樹液を飲むとワニに襲われる」「花を抜くとライオンに体を引き裂かれる」「少年が樹液で沐浴すると強くなれる」等など...。

バオバブと言えば思い出すのが、サン・テグジュペリ『星の王子さま』。この中では、『1本で星じゅうに穴を開けてしまうので、見かけたらすぐ抜かなければいけない』とある。また、象がバオバブを食べると言う話も出てくるが、これは実話らしい!

筆者にとってアフリカは憧れの土地である。幼い頃、『あふりかのたいこ』という絵本に出会い、手塚治虫の『ジャングル大帝』や、テレビ番組『野生の王国』に魅せられ、大きくなって映画『愛と哀しみの果て』を観て、その原作であるイサク・ディネセンの『アフリカの日々』を読んだ。いつか、この目でバオバブを見る日が来るだろうか...。

炎風やバオバブ一樹に精霊一匹風来松