183. 人形

人間の姿に似せて作られたもの。その起源は古く、紀元前2000年のエジプトと言われる。日本にも、土偶、埴輪、平安時代には雛人形の元となった、ひいなの記録がある。流し雛や、形代は、人の代わりに厄災を引き受けるものとして作られた。また、呪詛の道具として、丑の刻参りで藁人形が使用される。呪う相手の毛髪等を入れ、五寸釘で打ち付ける。この釘、実は規格外品で、ホームセンターや金物屋では売っていない。(最近ではネットですぐに買えちゃうが)〈ブードゥー教〉の泥人形も同様。

子供の遊び道具としては、市松人形に髪が伸びる等の話がよくある。実際、北海道岩見沢市の〈萬念寺〉にあるお菊人形は、大正八年に亡くなった菊子の可愛がっていたものだが、髪が伸び続けている。ただ、江戸時代の頃には人形に、本物の人の髪を使用していた為、少し伸びたりもしたそうだが、現代では化繊の為そんな事はないという。こけしについても、口減らしした子の姿という話もあるが、これは1971年、詩人の松永伍一のエッセイから広まったデマらしい。山の神が忌み嫌う人数を避ける為携帯したさんすけさまが起源とも言われる。1984年にブームとなった、キャベツ畑人形は、アメリカ人の作者が幼い頃に「赤ちゃんはキャベツから生まれる」と聞いた事から誕生した。ロシアのマトリョーシカは、日本の箱根入り子細工を元にした説や、ここ松山市にあったロシア人捕虜収容所のロシア兵が、姫だるまを元に作ったと言う説もある! 他にも、バービー、リカちゃん、モンチッチ、ファービーもいた!

店の前に客寄せで置かれているのは、サトちゃん、ペコちゃん、阪神タイガースの呪いで知られるカーネル・サンダース! 縁起物では、招き猫七福神、そして、ビリケンもいた! これ意外にも作者はアメリカ・カンザスシティの美術教師フローレンス・プレッツ。後に、アラスカやロシアにも広まった。

妖怪では人形神(ひんながみ)という憑き物がある。作り方に諸説あり、三年間三千人に踏まれた墓地の土で作る、七つの村の墓地の土と人の血を捏ね千人に踏ませる、三寸ほどの人形を千体作り煮て、一つだけ浮かび上がってきたもの…等。こうして出来た人形神はどんな願いも叶えてくれるが、作った者にも強く憑き、死の間際に非常に苦しみを与えるという…。

1988年の映画『チャイルド・プレイ』のチャッキーもいた! これもブードゥー教の秘術により生まれた。

さて、前頁のミイラと同じく、メキシコのソチミルコの奥に人形島というのがある。島中の木々に無数の人形が吊るされている! 島に一人で住んでいたドン・ジュリアン・サンタナ・バレーラが流れ着いた人形を供養する意味で吊るしたのが始まりとされる。その後、おふざけや、供養等として、同様に人形が吊られていった…。ただ、現在、入場料を50ペソ取ったり、偽島が作られたりもしているらしい…。まぁ、もちろん、これも行かなかったが…。

描いたのは、2010年チェコのヤン・スベラークのパペットアニメーション『クーキー』♡

人形にした告白がアマリリス稲用飛燕