「いい子にしてないと〇〇が来るよ!」世界中の子供たちが、親に言われて怖がってきた〇〇。ベッドの下、タンスの中にいたり、窓を引っ掻いたり、袋に詰めて攫っていったり、ムシャムシャ食べちゃったりする!
欧米で、一番有名なのがブギーマン。スティーブン・キングの『子取り鬼』、ティム・バートンの『ナイト・メア・ビフォア・クリスマス』にも登場した。元はスコットランドのボーグル・ボガード・ボギーから来ていて、さらに遡ると中世の英単語「恐ろしい幽霊」を意味する「bogge」が大元らしい。
ウェールズのバグベアも知られる。毛むくじゃらのゴブリンの一種とされる。
ポルトガルやブラジルのラテン圏では、オンブレ・デ・サコ=「袋の男」。その名の通り大きな袋に入れて子供を攫う。このタイプは、世界中におり、アゼルバイジャンのホハン、ブルガリアのトルバン、ハイチのトントン・マクート、インドのボリバラ、チェコのブバクハストルマンも同様だが、これは大人も連れ去り、赤子のような声、満月の夜に盗まれた魂の為に機を織る、猫の引く車に乗っている...と、やたら設定が細かい。
ドイツのシュヴァルツマン、イタリアのウオモ・ネロは、共に「黒い男」の意。
イランのルル、トルコのドゥンガンガ、スペインのエル・ココは、子供を食べる。
メキシコのエル・ククイ、デンマークブッセマンド、『ムーミン』にも出てくるフィンランドのモランは、ベッドの下にいるタイプ。
フランスクロックミテーヌ、ギリシャバブラス、ロシアババイ等々...。
日本では、鬼・オバケ・ナマハゲ...。柳田国男は、島根県のコトリゾ、カクシババ等がこれに当たるとし、元寇由来の「蒙古高句麗」からきたむくりこくりも挙げている。青森県には『モッコの子守唄』、壱岐にも〈むくりこくり人形〉が残る。
オバケといえば、つい先日亡くなられた、せなけいこの『ねないこだれだ』が思い浮かぶ。実は彼女が、オバケを描くきっかけとなったのは、息子が怖がりならもテレビの『ゲゲゲの鬼太郎』を見ていた事による! さすが、水木サン...! しかし、『ねないこだれだ』は、決して躾の為に描いたものではないと言うのも何だか嬉しい。
23夜ベッドのアイツと決着(ケリ)つける風来松