ロシア・東欧諸国の精霊・魔物の総称。シベリアの『テュルク神話』では、人を喰う羽根を持つ蛇竜。99本の角を持つ雄牛に乗った巨大な鬼とも。アルタンシバルタイ=黄金の魔女の子供で、冥界の王の配下。元々この地域にも、妖怪の類は多くいる。
まず妖精。スラブ人の家や、家族を守るのがドモヴォイ。毛むくじゃらの小人の姿。家事を手伝ってくれたり、吉凶を伝えてくれたりする。古い先祖の霊とも、至高神に天から落とされたものともされる。同様に落ちてきたものに、家畜小屋に棲むドヴォロヴォイ、風呂場やサウナに棲むバーンニク、森に棲み人を迷わせる(衣服や靴を逆さにすれば防げる)レーシー、川や池に棲む若い女の姿のルーサルカ等がいる。
魔女のバーバヤーガは雪の老婆。ヴェシュニツァ・マクビーは、子供や月を攫うカササギの魔女。
鳥系では、王冠を被った女の顔の梟シリーン。これの歌は、聖人には祝福をもたらすが、常人が聞くと死んでしまう! アルコノストは天界・冥界に棲む、上半身は女の鳥。悪事を働いた者を歌声で苛む。
吸血鬼も本場。ウプイリは、人の頭・コウモリの身体に、カニの爪を持つ。ヴォイは瞼が地面まで垂れた土の精。ゴーゴリの小説にも登場する。グドラクは赤い羊膜を纏う。宿敵の白い羊膜のヴァンパイアハンター・クルースニフと戦い続けている。最悪・最強とされるネラプシは、東スロバキアにおり、これを見ただけで人は死んでしまう…!
ドラゴンも多い。農耕神でもある3つ首のズメイ、魔法神とされるジルニトラ、海の龍王はマルスコーイツァーリ、ズメウはルーマニアの竜人!
UMAもバラエティーに富む。ベーリング海のアミクック、ハイール湖の怪物、獣人・アルマス…。
宇宙人にも、有名なウンモ星人がいる。1989年ヴォロネジ州に出現した際は、多くの人にUFOやロボットまでもが目撃された!
宇宙人はともかく、前述のイルベガン達は、〈共産党〉や〈キリスト教〉という至高神により零落させられた、古いスラヴの神々なのだろう…。そして、その存在は、民話や歌や絵画やバレエ等の中に身を潜め、生き残った。
絵に描いたのは、『スラヴ叙事詩』を描いたチェコの画家、アルフォンス・ミュシャの『メディア』。もっともこれは、『ギリシャ神話』の悲劇の一場面なのだが。
零落とされし神の踊るやムハの春風来松