252. イルベガン

ロシア・東欧諸国の精霊魔物の総称。シベリアの『テュルク神話』では、人を喰う羽根を持つ蛇竜。99本の角を持つ雄牛に乗った巨大なとも。アルタンシバルタイ=黄金の魔女の子供で、冥界の王の配下。元々この地域にも、妖怪の類は多くいる。

まず妖精。スラブ人の家や、家族を守るのがドモヴォイ。毛むくじゃらの小人の姿。家事を手伝ってくれたり、吉凶を伝えてくれたりする。古い先祖のとも、至高神に天から落とされたものともされる。同様に落ちてきたものに、家畜小屋に棲むドヴォロヴォイ、風呂場やサウナに棲むバーンニク、森に棲み人を迷わせる(衣服や靴を逆さにすれば防げる)レーシー、川や池に棲む若い女の姿のルーサルカ等がいる。

魔女バーバヤーガは雪の老婆。ヴェシュニツァ・マクビーは、子供や月を攫うカササギの魔女

鳥系では、王冠を被った女の顔の梟シリーン。これの歌は、聖人には祝福をもたらすが、常人が聞くと死んでしまう! アルコノスト天界冥界に棲む、上半身は女の鳥。悪事を働いた者を歌声で苛む。

吸血鬼も本場。ウプイリは、人の頭・コウモリの身体に、カニの爪を持つ。ヴォイは瞼が地面まで垂れた土の精。ゴーゴリの小説にも登場する。グドラクは赤い羊膜を纏う。宿敵の白い羊膜のヴァンパイアハンター・クルースニフと戦い続けている。最悪・最強とされるネラプシは、東スロバキアにおり、これを見ただけで人は死んでしまう…!

ドラゴンも多い。農耕神でもある3つ首のズメイ魔法神とされるジルニトラ海の龍王マルスコーイツァーリズメウはルーマニアの竜人

UMAもバラエティーに富む。ベーリング海のアミクックハイール湖の怪物獣人・アルマス…。

宇宙人にも、有名なウンモ星人がいる。1989年ヴォロネジ州に出現した際は、多くの人にUFOロボットまでもが目撃された!

宇宙人はともかく、前述のイルベガン達は、〈共産党〉や〈キリスト教〉という至高神により零落させられた、古いスラヴの神々なのだろう…。そして、その存在は、民話や歌や絵画やバレエ等の中に身を潜め、生き残った。

絵に描いたのは、『スラヴ叙事詩』を描いたチェコの画家、アルフォンス・ミュシャの『メディア』。もっともこれは、『ギリシャ神話』の悲劇の一場面なのだが。

零落とされし神の踊るやムハの春風来松