34. 月

太陰・月輪、奈良時代以前はツクと呼んでいた。漢字は欠けた月を表した象形文字。

地球から月までの距離約38万km。視直径は五円玉の大きさ。月が昇る時、やたら大きく見えたりするのは、目の錯覚らしい?! どう見てもデカい気がするが、なぜそう見えるかは正確には分かってない...! 実は、真円ではなく僅かにセイヨウナシ型。面積は、アフリカとオーストラリアを足したくらい。起源については、地球の一部だったが、巨大隕石の衝突で出来たという〈ジャイアントインパクト説〉が有力。ジェイムス・P・ホーガンのSFの金字塔『星を継ぐもの』だ! 火星の月を奪ったという説もある。そして、月は毎年3.8cmずつ地球から遠ざかっている!

月が地球に及ぼすものとしては、潮の満ち引きが知られる。海の生物はもちろん、人体の中の血液や水分、大気も影響を受けているとも。その為、天候、はたまた、地震との関連もあるとか! 満月には神経系が活発になり、睡眠にも差し支え、女性の出産や生理も起きやすいという説もある。

その為か、世界には月の女神が多い。『ギリシャ神話』のセレーネーアルテミスヘカテー、古代メソポタミア『バビロニア神話』のシンは、一切の悪を見通す。占星術でも、月は女性は関連付けられている。『かぐや姫』も月に帰って行った。

ただ、エジプトのバステト、ケルトのアリアンロッド、日本の月読尊も男とされる。黄泉の国から戻った伊弉冉尊の禊の際、右目より生まれた。(左目からは天照大神)。

一方、堕天使・悪魔サリエルは、月の支配者。古代、魂は月から来て月に帰ると考えられていた。『ローマ神話』にも女神ルーナがいるが、ラテン語で「狂気」を意味する「Lunatic」の語源。西欧では月を見すぎると気がふれる、日本でも見すぎると招かれて命を落とすと言う。北欧では、妊婦は月をみてはいけない、イヌイットでも見ると妊娠すると伝わる。満月の夜に魔女がミサを開くとか、あのロジャー・ベーコンも「月光を浴びすぎて命を失ったものが少なからずいる」なんて言っている!

中国では月に、薬を挽くウサギ玉兎、月の広寒宮には蟾蜍になったともいう仙女嫦娥、(これらの名は今、月関係で活躍している探査船等に付けられている)、仙法を学んだ罰として五百丈の桂の木(木犀)を伐り続けている元人間・呉毅の桂男が居るという。

しかし、それはさておき、月といえば、1961年ジョン・F・ケネディの「アメリカは十年以内に人類を月へ送る!」に始まる〈アポロ計画〉だろう! 実際、1969年〈アポロ11号〉はファミコン並の頭脳で奇跡的に月面着陸を果たし、ニール・アームストロングとバズ・オルドリンが月面に立った! 残念な事に、筆者が生まれたのは、その翌年だった...。(月の石なら、スペースワールドや、愛知万博で見たが...)ただ、2017年日本の〈かぐや〉が、月に巨大洞窟を発見! 2019年中国の〈嫦娥四号〉が月の裏に着陸。2020年にはNASAが月の南半球で水を検出! 各国が、再び月に人類を! と盛り上がりを見せている! わしの生きている内に頼む!

絵は、月岡芳年『月百姿/つきのかつら/呉剛』より。

桂男すまずなりけり雨の月松尾芭蕉