時間を超えて、過去・未来に行くことの出来る機械。
1887年、スペインのエンリケ・ガスパール・イ・リンバウの『アナクロノペテ』が初出。(かなりのトンデモ話!)その後、1889年、あのマーク・トウェインも『アーサー王宮のコネチカット・ヤンキー』で時間移動を描いたが、やはり1895年、H・G・ウェルズの『タイム・マシン』で世に広まった!
その後も、映画では『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、『ターミネーター』、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』...。マシンではないが、『アベンジャーズ』、『時をかける少女』、『戦国自衛隊』、『サマータイムマシンブルース』、今話題の『侍タイムスリッパー』...。マンガでも、『ドラえもん』を筆頭に、『ジパング』、『仁』、『テルマエ・ロマエ』、『アシガール』、『東京リベンジャーズ』...と、タイム・マシン、タイムスリップ、タイムパラドクスものは絶え間なく作り続けられている。最近の宮藤官九郎のドラマ『不適切にもほどがある』は出色だった!
ネット世界でも、2000年、ジョン・タイターなるタイムトラベラーが現れた! 2036年から、2034年に〈CERN〉によって実用化されたという〈C204型重力歪曲時間転移装置(ゼネラル・エレクトリック社製)〉でやって来たのだと言う。様々な予言(狂牛病・中国の宇宙進出・ペルー大地震・第三次世界大戦)をしたが、2004年のオリンピック中止等、外れているものも多い。ただ、これについてタイターは、自分の介入によって歴史が変わる可能性がある事、またパラレルワールドは無限に存在すると話している...。ずるいな...! そして4ヶ月後、任務(〈IBM5100〉の入手)が完了した為、未来に帰って行った...。更に2075年から来たキャスパーなる人物も現れ、2036年に地球外生命体が公になると予言している...。
さて、ではタイムマシンの実現性はどうなのだろう。2017年に重力波観察でノーベル賞受賞したアメリカ・カルフォルニア大の物理学者キップ・ソーンは、天文学者のカール・セーガンの友人だった。ジョディ・フォスター主演で映画化もされた『コンタクト』の執筆時セーガンは、こと座のヴェガへ瞬間移動する方法をソーンに相談し、ワームホールを使う事を提案された。その後、彼はこの説で論文も発表している。ワームホールは、アインシュタインの相対性理論の直後には、理論的に存在しうるとされている。しかし、もしワームホールを作るとなると桁外れな膨大なエネルギーが必要らしい...。また、それだけでなく、負の質量を持ったエキゾチック物質なる物も必要なのだが、結局この物質もワームホールも、理論上の仮の存在でしかない。宇宙ひもというのも、同様...。
その後、ソーンは超光速航法の利用も考えた。光速に近い速度で移動すれば、未来に行く事は可能だ。移動できればだが...。常に光速を超える速度で移動している超光速粒子タキオンというのもあるが、これも仮...。
さて、では、諸々の問題が解決されるとして、例のタイムパラドクスはどうなのだろう? マーティーやサラ・コナー宜しく、過去に戻って未来は変えられるのか?並行世界やマルチバースが存在するという説もある。一方、因果律の原理を厳格に守ろうとする力がはたらいて変えられないという説もある。
かのスティーヴン・ホーキングは、タイムトラベルは不可能だとする側だ。ワームホールは量子重力的不安定性により壊れて通れず、それ以前に無限大のエネルギーを必要とする為だという。〈MIT〉のセス・ロイドは、量子タイムトラベルの実験を行ったが失敗したことから、やはり過去は変えられないと結論している...。
でも、もし、タイムトラベルが実現されたとしたら、どの時代に行きたいだろう...? やはり、江戸中期くらいかなぁ...。
目眩く玉虫厨子タイムマシン風来松