かつて松本清張が、「日本人一億総白痴」と言ったが、いまや「一億総スマホ」といった感がある。一体、何をあんなにも一心不乱にしているのかというと、①SNS②動画③ゲームらしい。では、何のゲームをしているのかといえば①ウマ娘②ツムツム③モンスターストライク(ちなみに世界の①はフォートナイト)ふーむ…。
確かに、人類は遥か昔からゲーム好きだ。紀元前3世紀頃の古代インドのボードゲーム〈チャトランガ〉が、〈チェス〉や〈将棋〉になった。同じ頃、中国では〈囲碁〉が誕生(これもインド発祥説あり)。
囲碁は元々、天文・暦・易に使用されていたと考えられる。春秋戦国時代には、戦略・政治・人生のシュミレーションとして広まった。世界初の囲碁の専門書『弈旨』にも、『碁盤は大地、碁石は天体、四隅は四季』とある。晋の『捜神記』では、仙人も打っている。日本には平安時代に伝わり、『枕草子』や『源氏物語』にも登場。『大鏡』では、村上天皇が占いに使ったとあり、魔除け・邪気払いにも使われていたという。戦国時代には武将の嗜みとされ、小説『天地明察』の渋川春海も思い出される。現代でも皇室行事に、5歳になると碁盤から飛び降りる〈深曽木の儀〉がある。
さて、妖怪にも、『玉箒木』に載る牛込の囲碁の精、知白・知玄がいる。清水作庵が〈円照寺〉で知り合い馴染みとなり、それ以降、江戸で無敵の碁の腕前となった。新潟岩船の関谷にも、宿で一緒にり碁を打っただけで、めきめき腕が上がったという碁老人がいる。
落語の『碁盤斬り』、日本刀で碁盤の目を付ける〈太刀盛り〉、「一目置く」・「布石」・「定石」等、碁は日本の文化の中に根付いている。
一方、将棋は、周の武帝が発明したとか、日本へは吉備真備が囲碁と共に、唐より持ち帰ったとも言われる。江戸時代になると、囲碁と共に公認となり、家元三家による御前対局〈御城将棋〉が行われた。妖怪話は、芹沢博文九段が、かつて対局した寺で幽霊に会って昏倒した話があるくらい。『明月記』には、藤原定家が将棋を指して、病の治療としたとある。
双六も、奈良時代には既に伝来していた。賭博に用いられた為、689年持統天皇が禁止令を出した。やはり、インド発祥。これまた『徒然草』・『平家物語』等文学作品に描かれた。2人で対戦する〈盤双六〉は幕末には廃れ、〈絵双六〉だけが今も残る。将棋同様、1007年には花山院が治療の為、双六を行った。12世紀には〈双六別当〉が置かれ、神事に使用された。元々、中国では賽子自体、神聖なものとされた。
チェスでは、18世紀にチェスを指すカラクリ人形〈ターク〉が話題となった。ナポレオンもベンジャミン・フランクリンも対戦して負かせたが、実は名人が隠れて操っていた! 今の世でいうと、囲碁・将棋・チェスの、人間とA.I.の対戦のようだ。ついこの前、アメリカ人のケリン・ペルリンが、悪手でA.I.に15戦14勝した! この手、人間相手には通用しないらしいが…。
こうしてみると、人間というのはつくづく「遊びをせんとや生まれけむ」だ。あ! 最近、波平さん〈日本棋院〉より、五段の免状を貰ったらしい!
端居するマスオ波平の間に宇宙風来松