飛鳥時代が始まる少し前、美濃大野の男が、人に化けた狐と契り、子を成した。ほどなく男の飼犬により、女の正体はバレてしまう。が、男は「お前は私の妻であるので共寝をしよう」と言い、当時「野干」と呼ばれていたそれを「来つ寝」と言うようになった。
やがて、女が去った折、男は『恋は皆我が上に落ちぬたまかぎるはろかに見えて去にし子ゆゑに』と詠んだ。その子は「岐都禰」と名付けられ、姓も「狐直(きつねのあたい)」とした。力が強く鳥の飛ぶような速さで走ったという。『日本霊異記』より。
時代は四百年ほど流れた奈良時代。舞台は同じ美濃の国の片肩郡小川の市。前述の岐都禰の四代目は、「美濃の狐」と名乗る百人力の女盗賊。ある時、船に乗って現れた女より大量の蛤を奪い取ろうとしたところ、逆に葛の鞭で打ち負かされてしまう!
その女の正体は、前頁で触れたあの最初の妖怪・がごぜを退治した道明法師の孫娘であった! 美しくたおやかな姿ではあるが、なんと呉竹も指でたやすく砕く五百人力の怪力!
彼女は、中嶋郡の頭領・宿禰久玖俐に嫁いだが、ある時夫が彼女の作った衣を国守に取り上げられた際、国守を指で摘んで館の外に放り出してしまった。その為、離縁され実家に戻される。しかし、川で洗濯中、からかってきた者を乗る船ごと陸に引っ張り上げた事で名が広まり、再び復縁。その後は幸せに暮らしたという。『今昔物語』より。
あの、巴御前もかなりの力だったと伝わる。左右から襲いかかった敵の刺客の首をへし折り、その首はちぎれたという...!木曽義仲を馬ごとぶん投げたという話もある。
池田輝政の妹、天久院も知られる。乱心者や、盗賊等は、四、五十人を相手にしたというし、それどころか巨大な化け猫をも退治した!
長野の昔話にある『力ばあさま』の老婆は、木の株を掘り起こし、米俵も馬も軽々担ぐ。正月の餅を奪いに来た万力なる鬼さえも、力比べで懲らしめた! その際鬼の左腕が抜け落ち、〈落手場(おってば)〉の地名に残る。
海外にも、『ギリシア神話』にも登場するアマゾネス、『ゲルマン神話』の戦いの女神ワルキューレ、『千夜一夜』のアブリザー姫...と、勇ましい強力の女は世界中にいる。
描いたのは、マンガながら、そんな女達の中でもNo.1であろう、アラレちゃんこと則巻アラレ! なんせ地球を割っちゃうからな〜!
雛アラレ女子といえども地球割る風来松