ご存知〈酔拳〉! 正確には〈酔八仙拳〉といい、道教の代表的な八人の仙人の酔った姿を模している。日本でいう七福神。
李鉄拐、漢鐘離、呂洞賓、藍采和、韓湘子、張果老、曹国舅そして紅一点何仙姑の8人で、八仙。
八仙は、それぞれ神通力のある〈法具〉を持っており、李は瓢箪、漢は芭蕉扇...といった具合。〈酔八仙拳〉には一人ずつの技があり、それぞれの特徴を表した七文字の漢詩、つまり7✕8の56文字で構成されている。またそれとは別に、孫悟空をモデルとした〈酔猿拳〉というのもある。
これは、八仙と四海竜王が、西王母の宴の帰りに大喧嘩をし、そこに孫悟空も八仙側に加勢したという話から。明の『東遊記』に載る。
また、女酒を飲まないとの理由から、酔拳の使い手に女はいないとされる。映画『酔拳』の中で、ジャッキー・チェン演じる主人公は、女仙人の型の練習をさぼり、痛い目を見た。
描いた、杯を持つ手の型〈杯手〉は、相手の喉を掴み砕く技。
創始者は、『酔拳』にも登場した蘇化子と、范大杯とされる。映画の蘇化子役、袁小田は香港映画界で初めて武術指導を行い、その道の礎を築いた。その息子が『酔拳』の監督。ちなみにジャッキー演じる黄飛鴻も実在の人物で、清代の〈洪家拳〉の達人だ。
そういえば、〈琉球空手〉も元々は、酔った帰り道で襲われないよう考案されたと聞く...。古今東西、酔っぱらい強し!
年越しにいつもの席でいつもの酔拳真澄