285. カウボーイ

かつて、かみさんがアメリカのグランドサークルに旅行した時に持って帰ったガイドブックに、ユタ州の〈デッドホースポイント〉を見つけた。19世紀、カウボーイ達が囲っていた馬達が何らかの理由で全頭死んでしまい、今も彷徨っているという場所らしい...。

さて、伝説のカウボーイにペコス・ビルがいる。身長は2m、気は優しくて力持ち。コヨーテに育てられたという。投縄は一流で、竜巻も捕まえて乗りこなす。鞭はガラガラヘビ! 愛馬はウィドウメーカー(未亡人作り)スルーフット・スーという彼女がいるが、ウィドウメーカーに月まで蹴り飛ばされてしまった...。彼女を慕ってビルが月を見上げる時、コヨーテが一緒に鳴いた。これが、遠吠えの始まりである。彼が、リオ・グランデも掘り、カウボーイソングも作った。

そのカウボーイソングの一つに『ライダース・イン・ザ・スカイ』がある。怪しい雲が空を覆い、幽霊牛幽霊カウボーイが追い空を駆けるという歌詞。これは、『北欧伝説』のワイルドハント(幽霊猟師)と同様と考えられる。ここでは、オーディーンが、精霊悪霊を率いる。日本で言うところの百鬼夜行である。ハイネは小説『さまよえるオランダ人』で。ワーグナーはオペラで描いた。ワイルドハントは、多くの国で様々なバージョンが見られる。また、別の機会に詳しく触れようと思う。

カウボーイソングといえば、小学生の音楽の授業で『ちびっこカウボーイ』の劇をやったことがあった。馬の鳴き声が上手いという理由で筆者は馬の役だった...。あの時、カウボーイ役で馬にまたがっていた火山くんは、良く似合っていたなぁ...。ちなみにこの歌、なんと元はイタリア! まさかのマカロニウエスタン。マカロニといえば、クリント・イーストウッド。『荒野のストレンジャー』や『ペイルライダー』を思い出すが、今考えるとかなりアウトな主人公だった...幽霊だったとはいえ。まぁ、『ダーティハリー』も相当だったけど。ただ、あの頃のギラギラしたイーストウッドも悪くなかった...。

句と絵は、カウボーイがブーツに付けている、〈スパー(拍車)〉。西部劇ファンの筆者は、長年これを手に入れたいと思い続けている...。そして、いつか西部のテラスで髭を剃られたいとも...。

晩夏光踊り場でスパーの音を聞いた風来松