1912年イタリアで、ウィルフリッド・ヴォイニッチにより発見された手稿本。23.5×16.2×5cm。240ページ。羊皮紙。未解読の文字の文章、7割が彩色された植物図、他にも天体図、管のようなもので繋がった浴槽のようなものに浸かる裸の女性などの挿絵が描かれている。
最初の確実な所有者は16世紀のチェコ・プラハの錬金術師ゲオルグ・バレシュ。それ以前1599年神聖ローマ帝国の奇人皇帝ルドルフ二世が、アウグスブルクの医師・写本商カール・ヴィーテマンから購入したとの書簡が残る。1866年には教皇庁運営の〈グレゴリアン大学〉によりローマ近郊フラスカーティの大邸宅〈ヴィラ・モンドラゴーネ〉に所蔵。1912年財政難の為、大学が所蔵の一部を売却することになった時、ポーランドの古書商ウィルフリッド・マイケル・ヴォイニッチが30冊の本をまとめて購入。その中に発見された。彼の死後1969年〈イエール大学バイネキ稀覯本手稿図書館〉に寄贈、現在も保管されている。(インターネットで閲覧可)
作者は、あのロジャー・ベーコンという説もあったが、最近の調査の結果、羊皮紙は1404年〜1438年頃の物と判明したため、13世紀の人間であるベーコン説は無くなった。錬金術師ジョン・ディー、エドワード・ケリーという説もあり、パトロンであったルドルフ2世紀を騙すための捏造とも。
解読には、これまで何人もの猛者が取り組んできた。第二次世界大戦で、ナチスの〈エニグマ〉を解読したアラン・チューリングも、日本の〈パープル暗号〉のウィリアム・フリードマンも解読できず。ただ、でたらめではなく、何らかの人工言語だとは分かった。1987年クレオール語で、カタリ派の儀式という説が出たが、誤りとされた。2017年イギリスのニコラス・ギブスが女性の健康に関する医学書だという説を、2017年にはモスクワのケルディッシュ応用数学研究者が解読に成功したと発表。様々な言語にラテン語を混合したもので、ケシからアヘンを精製する方法が書かれているとした。また、2018年カナダの研究者がAIを使って解読。8割がラテン語とした。2019年イギリスの〈ブリストル大学〉の言語学者ジェラード・チェシャーは、ドミニコ会の修道女が、アラゴンの女王マリアのために書いた、俗ラテン語と言う説を提唱。今年2024年、オーストラリアのマッコリー大学のキーガン・ブリュワリーは、女性の精と生殖について暗号化したものとの論文を発表。
それ以前にも、日本のネット上では、何となくこれが読めるだとか、どこかの世界で見た文字と同じだとかオカルトチックな根拠の無いネタが...。29ページ目には恐ろしい内容が...とかもあり、解読出来るが公表してはならない...なんて、まぁ面白いことを考える日本人のイマジネーションだなぁ〜とは思うが...。
この文字読めるってフクロウに言っちゃゼッタイダメ風来松