『暗い日曜日』という、呪われた曲がある。子供の頃にこの話を聞いた時、とても恐ろしかったのを覚えている。
曰く、この曲を聴くと自殺したくなるというのだ。実際、『暗い日曜日』が作られたハンガリーでは、200人以上の自殺者を出し、その中には作詞したシェレシユ・レジェーや、カバーした歌手も含まれるという…。1933年に発表されたこの曲の歌詞は、ある日曜日に亡き恋人の死を嘆いた末、自殺するという内容。これでも、元はもっと暗い歌詞で、書き直したものらしい。特にフランスのシャンソン歌手ダミアが歌ったものが最も効果(?)があったという。ユダヤ人バイオリニストのロシュフ・ゲームは、この曲をあえてナチスの前で何度も演奏して、自殺者を出させた…!
クラシック界にも、同様の逸話がある。かのベートーヴェンが、いわゆる『第九』を最後に亡くなった事から、交響曲の9番目を書くと死が訪れるというもの。実際、シューベルトも、ドヴォルザークも、マーラーもそうだった…。
日本でも、1980年TV放映された、〈クリネックスティッシュ〉のCMを見ると呪われる。という騒動があった。映像は、赤鬼姿の外国人の子供と、女優がひたすらティッシュを抜くというシュールな内容で、使用された曲は、ジェーン&バートン『It's a fine day』。『3時のワイドショー』や、松谷みよ子の著書でも取り上げられ、放送禁止となった…。
曲ではないが、西條八十の詩『トミノの地獄』も、声に出すと呪われると言われ、寺山修司の死もこの為だと、四方田犬彦がエッセイに書いている。
と、まぁ、コワイ、コワイ話の数々…。前述のCMの出演者も全て謎の死を遂げている…。なんて言われるが、実は件の女優というのは松坂慶子でピンピンしている! 『暗い日曜日』にしても、実際にこれを聴いての自殺者は、5人だったらしく、前述のフランス人歌手ダミアも90まで生きた。この曲、日本でもカバーされていて、歌ったのは、淡谷のり子・越路吹雪・美輪明宏・夏木マリ…そして、絵に描いた『紅の豚』のマダム・ジーナこと、加藤登紀子! 呪いも逃げ出しそうな、錚々たる豪の女達である!
呪ひさへ唄ひたおせし撫子ら風来松