地球の海の95%は深海である。深海とは、200m以深を言い、植物プランクトンが光合成のできる限界。もちろん海はさらに深く、平均深度は3800mだ。最深は、〈マリアナ海溝〉の10911m。人類が到達できたのは、中国のレコード7020m。次いで、日本の〈しんかい6500〉の6527m。生身では、器具を使えば322m。フリーダイビングでは、オーストリアのヘルベルト・ニッチの214mが記録である。映画『ブランブルー』でも有名なジャック・マイヨールは55歳で105mに達した。
深海にも生物はいる。ダイオウイカを筆頭に、チョウチンアンコウ、フクロウナギ、タカアシガニ、ダイオウグソクムシ、シーラカンスもそうだ! 古代鮫ラブカもいる。リュウグウノツカイの名前は、もちろんあそこから!
あそことは、言わずもがなだが、竜宮だ。中国では竜王が住むとされ、『西遊記』にも登場した。日本では『古事記』・『日本書紀』に海神の住む綿津見神宮(わたつみのかみのみや)として記されている。安倍晴明も幼少時に竜宮城を訪れて、動物の言葉が分かる竜仙丸を入手したという。また、三重志摩の伊雑宮には、海女が竜宮城より持ち帰ったという玉手箱が現存する。
深海に没した国としては、ムー大陸。そして、アトランティスが知られる。後者はプラトンの時代よりも9000年前に海中に没したという。(筆者が子供の頃、『アトランティスから来た男』なる海外ドラマがあった。また、『ウルトラセブン』でも海底人ノンマルトが登場した。)
深海に住むものは、人知を超えた神として多く伝えられてきた。ノアの洪水の前に賢者エアにより遣わされた、古の賢人アプカルルのアダパ。ペリシテ人の神、ユーフラテス流域のタゴン。バビロニアにも7日間で、全ての文化を人類に授けたというオアンネスがいる。
さて、前述したフリーダイビングのジャック・マイヨールだが、彼が深く潜る時、脈拍数は20まで低下。末端の血液は、脳や心臓などの身体の中央部に移動した...イルカやクジラのように...! インタビューでも「潜る時はイルカになりきる」と語っている。そのジャックとイルカとの出会いは、なんと日本の佐賀県唐津だった! 句はそれを詠んでます。
青い目は唐津の夏のイルカの目風来松