夜間や、霧の深い海に現れる。帆船が多い。船体は著しく損傷しており、乗組員は幽霊かもしくは、無人。日本の場合、発光している例が多い。
やはり、幽霊船といえば、フライング・ダッチマン号。1751年に出航したが、アフリカ喜望峰近海で遭難し、オランダ人船員全員が死亡。東オランダ会社の船長ヘンドリック・フォン・デル・デッケンが、風や神を罵った事が原因で、彼らは永遠に湾に入れず彷徨っているという。元々、ドイツの伝説にある、最後の審判の日まで彷徨い続けるフォルゲンバーグ船長がモデルとも。後にワーグナーが歌劇『さまよえるオランダ人』を作り、ここでは7年に一度は上陸でき、その際、愛する人に巡り合う事ができれば、船長の呪いは解けるとされている。
他にも、見た者に災いをもたらすフランスのロザリー号、海を傷つけるものを罰するチリの、魔女と幽霊の乗る陽気なエル・カルーシュ号等がある。日本の志自岐は、1919年種子島沖で沈没し多くの犠牲者を出した運送船。その後、この船が電気を灯して浅瀬を通る姿が、夜釣りの漁船により何度も目撃されている。1798年には、アイルランドで、なんと空飛ぶ幽霊船が出現した!
さて、リアル幽霊船となると、最も有名なのが、メアリー・セレスト号。1872年ポルトガル沖で発見されたのだが、9名の乗組員はすべて行方不明で、船内の羅針盤は破壊され、六分儀・クロノメーターは失われていた。血痕が残り、船長室には錆びた1本の剣が残されていた…。コナン・ドイルも小説の題材にした、ミステリーである。同様の事件が、1921年アメリカ・ノースカロライナ州ハッテラス岬沖で座礁していた商業船キャロル・デイアリング号。やはり、10人の乗組員は全員、行方不明。
1918年には、ドイツの潜水艦UB65で、幽霊の目撃が相次ぎ、洋上に乗り捨てられた! 他にも、短期間のうちに考えられないほど老朽化した例や、乗組員がミイラ化していた例もある…。
創作では、前述のワーグナーの歌劇の他に、大佛次郎の『ゆうれい船』、映画では1980年『ゴースト/血のシャワー』、2012年『ゴーストシップ』等がある。絵に描いたのは、『ワンピース』の幽霊船に乗って登場したブルック。
秋の燈と私の過ぐる幽霊船風来松