23. 蜘蛛

八本足、八つの目、カチカチ鳴りそうな鋏角、鉤爪、糸を吐き、毒もありそう...。見た目からして、妖怪じみた生物である。実際は、人体に害をなす程の毒性を持つ種は、ごく僅か。ただ、昨今話題の〈セアカゴケグモ〉や、〈タランチュラ〉のイメージは強い...。名前の由来は、巣を「組む」、「黒」、「陰(ごもり)」等と言われる。

その糸は、同じ太さなら鋼鉄の5倍、伸縮性はナイロンの2倍。ただ、人工による生成にはコスト等の障壁が多く不可能とされてきた。ところが、2013年山形のベンチャー企業〈スパイダー〉が量産技術を開発したという!

さて、蜘蛛といえば「朝蜘蛛は縁起が良く、夜蜘蛛は縁起が悪い」なんて話は昔からよく耳にした。また日本各地に、釣人の足に蜘蛛が糸をかけて、池等に引きずり込もうとしたという類の話も多い。水蜘蛛等と呼ばれる。女郎蜘蛛も知られる。元々、黄色と黒の細く美しい姿が名前の由来だが、やはり美女に化ける。静岡県伊豆の浄蓮の滝のヌシや、仙台の賢淵等が知られる。『太平百物語』、『宿直草』には子連れで現れたとある。

描いたのは歌川国芳『源頼光の土蜘蛛退治』。頼光が名刀〈膝切〉で四尺(1.2m)の土蜘蛛を斬り、それ以降〈蜘蛛切〉と呼ばれたと、『平家物語剣巻』に載る。これを元に能の演目も作られた。また、『土蜘蛛草紙』でも、やはり頼光により二十丈(60m)の巨大蜘蛛が退治されたとある。

土蜘蛛といえば、大和朝廷に抵抗した土豪もこう呼ばれた。酒呑童子しかり、温羅しかり...。魔女も同じか...。

ムベンベのコンゴには、UMAチバ・フー・フィーがいる。1890年イギリスの宣教師アーサー・サイムズのポーターを全員殺したという150cmの大蜘蛛だ。

創作でも、芥川龍之介『蜘蛛の糸』、京極夏彦『絡新婦の理』、映画『パニックオブタランチュラ』、『アラクノフォビア』、そして『スパイダーマン』! 印象に残っているのが、スティーブン・キングの『IT』。町の少年少女らと、時代を超えて戦う、恐ろしき敵役ペニーワイズの正体が大蜘蛛だった...!

アア君モスデニ蜘蛛ダッタノダネェ猫正宗