27. 付喪神

長い年月を経て道具に霊魂が宿り、妖怪または鬼に変化したもの。人を誑かす。

『伊勢物語抄』には、百年を経た狐狸等が変化したものとある。

つくもがみとしての初出は室町時代の御伽草子系絵巻物『付喪神絵巻』。ここでも、道具は百年を経ると精霊を得て変化するとある。そうなる前に人々は煤払いをして、立春前に古道具を路地に捨てるのだが、道具達は腹を立てて節分の夜に一揆を起す。が、人や護法童子に懲らしめられ仏教に帰依するという筋書き。

『今昔物語集』や、『化物草紙』にも、器物の精等が登場するが、付喪神の名は無い。絵としては、『土蜘蛛草子』、有名な『百鬼夜行絵巻』に描かれている。

主な付喪神を挙げると、唐傘お化け提灯お化け経凜々化け草履瀬戸大将文庫妖妃雲外鏡等。

「つくも」は、多いという意味の和語「もも」の、次のももから。九十九の漢字は百に一つ足りない事から。これは、『伊勢物語』の「百年(ももとせ)に一とせ足らぬつくもがみ我を恋ふらしおもかげに見ゆ」からきていて、百に一画足りない白から、白髪にたとえたもの。

黒百合に暴れる茶碗笑う酒器暮井戸