28. 貧乏神

取り憑いた人・家を貧乏にするという。金壺目、尖った顎、痩せこけ、青ざめている。鼠色の単衣のボロを纏い、首から頭陀袋を下げる。手に持った渋団扇は、好物の味噌を扇ぐ為だという。

新潟県では、大晦日に囲炉裏を焚くと出ていくと言い、愛媛県宇和郡津島でも囲炉裏を掘りすぎると出てくると言う。山形県では出ていく時に、餅や銭を残したと伝わる。

仏教では黒闇天がこれとされ、吉祥天女の弟。

初出は室町時代で、〈応仁の乱〉の後貧乏神が堺に下ったという記述が残る。江戸時代になると、『兎園小説』・『譚海』等多く描かれ、『日本永代蔵』の貧乏神は、珍しく親切にしてくれた男を大金持ちにしている!

この事から、転じて福をなすともされ、東京文京区〈牛天神北野神社〉に祀られている。台東区には、ヒットゲーム〈桃太郎電鉄〉のボンビー像が! 大阪船場では、明治の頭頃まで焼味噌に貧乏神を封じて川に流す行事が行われていた。

中国にも貧乏神はいて、大阪と同じく送り出す〈送窮〉という行事が大晦日や正月ある。シベリアの貧乏神は、なんと美女だというので厄介そうだ…。

梅の花貧乏神の祟りけり夏目漱石