442. レプラコーン

アイルランドの妖精小人

ルブラホーンクルラホーンルプラホーンレプラカーンレプリカーンラバーキンフローリコーンルーラコーンラヴローガンラクリマン…とも。意味は「小さな人」、「腰の曲がったルー神」、ケルト妖精譚を編纂したアイルランドの詩人ウィリアム・バトラー・イェイツは「片足靴屋」の意だと言っていて、「片足の粗い革靴」を意味する古語「レ・ブローグ Leith brog」から来ているとも言われる。

前回にも書いたが、グリム童話の『小人の靴屋』もレプラコーンがモデル。この話の中では彼らは裸で、主人公の靴屋夫婦がお礼に靴と服をプレゼントしたところ、家から出ていってしまう。姿を見られたり、家の者が幸せになると居なくなるという座敷わらし的な性格とも言われるが、悪霊の子で堕落した妖精とも。だいたいの言い伝えでは、よく似た妖精ブラウニーのように人助けはせず、自分たちの為に靴を作っているとされる。 垣根に座り靴の修理をしている姿が定番だが、これも踊り好きですぐに靴底をすり減らしてしまう仲間のための靴。修理をしている音が真夜中に聴こえるとも。また、一日に片方の靴しか作らないとされ、その理由は身体が小さいので仕事が遅いとか、一本足だからとかと言われる。これが前述の「片足靴屋」の謂れだろう。

容姿は、20〜45cmのしわくちゃの老人。尖った鼻、輝く目、ごま塩の顎髭。銀のボタンの赤いシャツに、茶色の半ズボン、銀の留め金の黒ブーツ、革のエプロン、パイプに三角帽(これを逆さまにして、コマのように回るとも…)。近年、〈セントパトリックスデー〉のマスコットにもされ、この場合は全身緑色。

起源とされるのは、8世紀の『フェルグヌ・マク・レーティの冒険』に登場する水棲の妖精で、うたた寝していた王様を水中に引き込むルーホルバンと言われる。

アイルランド南西部には『レプラコーン注意』の看板が立つが、2006年アメリカのアラバマ州クライトンで実物が撮影され、インターネットで広まった。まぁ、案の定イタズラだったようだが…。

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』にも、〈クィディッチ〉のアイルランドチームのマスコットとして登場。会場にふらせた金貨は2、3時間で消滅した。

絵は池田あきこの『ダヤンのスケッチ紀行/英国とアイルランドの田舎へ行こう』より。

春雨に半足の靴作る音風来松