天や地を駆け巡る異形の狩人達の群れ。
亡霊・悪魔・魔女・妖精・ドラゴン・神…と、その姿は様々。亡霊を食うという猟犬や、馬を引き連れているとも。
欧州各地に伝わり、時期は魔女の新年でありハロウィンの10月31日から、これも魔女達のワルプルギスの夜として知られる4月30日まで。死から生へのリサイクルの時、死者や異界のものが生き来する。
嵐や戦の凶兆とされ、これを見てしまうと命を奪われて一団に加えられる。また、夢に見ただけでも魂を取られるという…。一方、これに敬意を払ったり、供物や助力を与えると、贈り物や幸運を授かるとも言われる。
起源は古代ゲルマンのユール=冬至祭とも言われる。この日にオーディンが天を駆け巡ると言われ、子供達は彼の乗る八本足の馬スレイプニルの為に、暖炉の側に干草や砂糖を供え、代わりに贈り物を貰ったという。これがクリスマスの起源の一つでもある。
『グリム物語』のヤーコブ・グリムがこの説を説いたが、現代イギリスの歴史家ロナルド・ハットンは様々な土地の伝説が混じり合って作られたと考える。
実際、ワイルドハントによく似た言い伝えは、多くの国にある。イングランドではハーレシンガスといい、アーサー王と円卓の騎士や、ドワーフ王の結婚式に招かれたまま帰らなかったヘラル王、海賊ドレイクが。ウェールズでは、異界の王アラウン、妖精王グイン、竜殺しの英雄シグルド、狩り好きの貴族マチルダ。アイルランドではマクラ・シーと呼ばれ精霊達が行進する。ドイツのホレおばさんは、井戸の底に広がる草原の一軒家に住み、善人には黄金を悪人にはコールタールを浴びせる! アルザスの一部では、子供だけの幽霊で、見ることができるのも子供だけだという。スイスでも、姿は見えず恐ろしい叫び声だけが聞こえ、人々を恐れさせる。
他にも、旧約聖書の最初の殺人者カイン、イエス・キリスト、天使ガブリエル…。ギリシャ神話の女神ヘカテー、女神ディアナ、ケルト神話の狩猟の神ハーン…と、様々な伝説がある。
さてワイルドハントに遭わないようにする方法はあるのか? 中欧では、肉をたくさん入れた容器を家の正面の木の上に置いた。また、『長くつ下のピッピ』のアストリッド・リンドグレーンやIKEAで知られるスウェーデンのスモーランドでは、狩人にあった時に投げる為、パンと金属を一片ずつ持つという。
この欧州版百鬼夜行、実はずっと気になりつつ手を出せないでいた。その理由の一つが絵。今回、『怪物くん』ファミリーと、『悪魔くん』の十二使徒に登場してもらって無事完成。右端は令和版悪魔くん2世・埋れ木一郎。
句の方は子供の頃、夕方5時から1時間アニメをやっていた『夕焼け小焼け劇場』を思い出して…。
大夕焼け小焼け5時だよ全員集合!風来松