クリスマスシーズン、特に12月5日のクランプスナハト(聖ニコラウスの日の前夜)に現れる悪魔に似た生物。山羊のような長い角、牙、長い舌、毛むくじゃらの体。鎖と樺の鞭を持ち悪い子を連れ去る為の籠を背負う。場所はヨーロッパ中東部、アルプス山脈周辺のオーストリア、北イタリア、ドイツバイエルン州、チェコ、スロバキア、クロアチア、ルーマニア、ハンガリー…等。聖ニコラウスに同行して、悪い子を連れ去り地獄へ連れ去る。
名前は、古高ドイツ語の「krampen=鉤爪」が由来。中世以前に、冬になると悪魔の姿に扮装して鈴や鐘を鳴らしながら悪魔祓いをしていた風習が起源。中世以降、キリスト教化により、今の形となった。
カトリック教会はこのような騒ぎを快く思っておらず禁止した事も。ニ次大戦の時代にはファシストが社会主義の産物として弾圧、戦後もドイツやオーストリア等でも子供が怖がるとして禁止されたが、近年には復活し盛大におこなわれている。
山羊の回でも述べたが、クランプスが半山羊半人の姿であるのには幾つか理由がある。何よりもまず、『マタイ福音書』にある『羊飼いが羊を右に山羊を左に置く…王は左側にいる人達に言う。呪われた者ども、私から離れ去り悪魔とその手下のために用意してある永遠の火に入れ』の一文が大きい。そして、古代ユダヤ教で贖罪の日に生贄にした山羊=スケープゴート。また、ギリシャ神話のパーンやサテュロス、かつては豊穣をもたらす自然神だったが、キリスト教に悪魔にされてしまったバフォメットの姿は今や悪魔の代名詞である。
さて、現代のクランプスナハトに登場するクランプスの仮装は、本物の動物の角や毛皮を使用して作られている物が多く、よく似たナマハゲよりもリアルで恐ろしい。間違いなく子供達は泣き叫ぶだろう。ある地区ではBGMにヘビメタが流れているとか! そう言えば、その姿は2006年のユーロヴィジョンで優勝した、フィンランドのヘビメタバンド〈ローディ〉とそっくりだ!
樺の鞭クランプスはプレゼントの夢を見るか風来松