417. 聖櫃(アーク)

1981年、初めてテレビのCMを見て、観たい!と思った映画が『レイダース失われたアーク』だった。

さて、聖櫃(アーク)。モーゼがの啓示をうけて制作し、〈出エジプト〉の一年後には完成していたという。その形状は『旧約聖書/出エジプト記』に詳細に記されている。箱はアカシアの木で作られ、純金で覆われている。上部には二体のケルビム(智天使)像。

ケルビムは、アダムとイブを追放した後、生命の樹を護るためエデンの東に回転する炎の剣と共に配置した天使。人・獅子・牛・鷲の四つの顔と、四枚の翼、四方に向いた車輪、身体には多くの目。ルネサンス絵画では、翼のある赤子の姿(プットと呼ばれる)で描かれる(あのタイタニック号から引き上げられた像もこの姿)。

聖櫃(アーク)には、二本の棒が取り付けられており、絶対に抜いてはならない。また、聖櫃(アーク)本体を素手で触れてもならず、蓋を開けてもならない。そしてこの禁忌を破った者は命を落とすとある。

前回も触れた聖櫃(アーク)の中に入っているのがソロモンの秘宝。まず、マナの金の壺マナとは、〈出エジプト〉の際、モーゼの祈りに応じてが天から降らせた食物。次にアロンの杖。アロンはモーゼの兄で、彼はこの杖で敵対するエジプトに9つの災いをもたらした。紅海を割ったのも、この杖の力とされる。そして十戒の石板

聖櫃(アーク)は、モーゼ亡き後、後継者ヨシュアによりシロの至聖所に安置された。その後、ペリシテ人に奪い去られるも、彼らには災難が襲い、再び送り返される。ソロモン王の時代には、〈エルサレム神殿〉にあったが、この時箱の中には十戒の石板しかなかったという。そして、ソロモン王の死後、イスラエルは分裂。紀元前586年にネブカドネザルにより神殿が破壊され、行方知れずとなる…。

実は前回書いた剣山の発掘調査の他にも、1988年にアメリカ政府が聖櫃(アーク)の探索を行っていた事が、2000年〈CIA〉が開示した公文書で明らかになった! 計画の名前は〈Project Sunstreak〉。実施したのは〈DIA(米国防情報局)〉。なんと、その手段は遠隔透視! それによると、聖櫃(アーク)の中には別の容器がはいっている。木・金・銀で出来ていて、上部には翼を持つ一対の像。中東の地下に隠されており、護られている。もし、無理にそれをこじ開けようとすれば、人知を超えた力により破滅させられるという…。

聖櫃(アーク)の行方は諸説ある。ソロモン王と、シバの女王の子メネリクがエジプトに持ち帰り〈アクスムの教会〉にある。エジプト南部のエレファンタイン島にある。中世に十字軍で遠征時〈テンプル騎士団〉が発見し隠匿した。そして、前回の剣山説…等など…。

最初に書いた『レイダース』の聖櫃(アーク)は、ナチスの手に落ちそうになったものの、最後はアメリカ政府がハンガー51に…というラストだった…。

句は、阿波踊りで聖櫃(アーク)を担ぐ一団が登場というニュースを見て。引退したハリソン・フォードが観光で訪れた阿波踊りで前述の聖櫃(アーク)に遭遇し、思わず取り乱して…という妄想句。

聖櫃アーク担く踊りに乱入インディ・ジョーンズ風来松